第25話

四章 四節 炎の精霊
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2020/09/14 15:44


 目の前の炎の魔方陣から、どんどん形が形成されていった。初めて見るイフリートさんは、とても可憐な少女の姿をしていて、いつの間にか周りの red wolfはいなくなった。

 あっという間にイフリートさんがすべて倒してくれたからである。

『はじめまして、エイカちゃん。よくアイオロスちゃんから話は聞いてるわ~』

アイオロスさんって…確か水の上位精霊だっけ?何で知ってるんだろう?

 と、その前にお礼言わないと。

「あ、えっと…イフリートさん。私たちを助けてくれてありがとうございました。」

「いいのよ、困ったときはお互い様なのは人間も精霊も同じだから。」

 そういって、朗らかに笑うイフリートさんはとても可愛らしく、あのレベル4指定のred wolfを一瞬で倒した人(いや精霊かも)とは思えなかった。

「そういえば、何で僕達がred wolfと戦っていた事を知っていたのですか?」

 えーっとねぇ…といいながら思い出すそぶりを見せるイフリートさん。

「んーっとね、アイオロスちゃんじゃなくて…そうそう、シルフちゃんに話を聞いたの。私の契約主が困っていたら助けてほしいってね。」

(シルフさん、ありがとう)

 私が今生きているのはシルフさんのお陰だった。だから、心の中でそっとお礼をいった。

「それで、こっちに来てみるとred wolfと戦ってて死にそうになっているじゃん?だから、ここでエイカちゃんと無理やり契約を結ぼうとしたのよ。まあ、これはある意味賭けだったけどエイカちゃんが規格外の強さでよかったわ」

「え…?ということはつまり、私とイフリートさんってもう契約がすんでいるんですか?」

 普通なら契約の言葉を言って、相手の精霊さんが了承しなければ契約完了にならないはずだ。(ちなみに、今までイフリートさんと契約できなかったのは、そもそも召喚できなかったから。)

「そうね、契約は終わっているわ。本来ならやらなければいけない工程は全部カットさせてもらったし。私くらいの精霊になればそんなことも簡単よ。」

 流石、上位精霊のイフリートさん。

「話が盛り上がっている所、ごめんなさい。イフリートさん、エイカ。そろそろ戻って薬を作らないとエドナが心配です。一回戻りませんか?」

「そういえば!そうだ、速く戻らないと。」

「それじゃあ、私と私の友達で送ってあげるわ。」

「え?」

「それじゃあ、アイオロス。宜しくね」

 アイオロスさんって、確か風の精霊さん…。そう思った瞬間、辺りに強い風が吹き目をつぶってしまった。次に、目を開けたときは泊まっていた部屋にいたのであった。

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