第122話

六章 一節 お茶会
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2021/01/24 16:29


 イフリートさん達が淹れてくれたお茶は、とても香りの良いジャスミンティーであった。

「美味しいでしょう? これね、遠くの町で作られているお茶でね……摘み立てはもっと美味しいのよ」

 遠くで作られているお茶。そんな貴重なものをわざわざ使ってくれたんだね……本当に私たちの事を気遣ってくれているのがわかる。

 さっき聞いた話、正直まだ信じきれてはいない。彼女が本来なら私の妹だったこと、もしそのまま進んでいたら……みんなが幸せだったこと。

「そうなんですね……」

 朧気に返すと、優しく微笑みかけてくれるイフリートさん。それ以外の人はみんな、俯いてお茶をすすったりしている。

 うつむいて、コップのなかを覗きこむ。するとそこにはいつも通りの紫色の映り込んでいる。

「いつか、つれていってあげるわ。凄い綺麗なところなの」

「ありがとうございます」

 手元のカップで揺らめく金色の液体。いつか、時間があればその街を見に行ってみたいな。カイトはいないけど、エドナや精霊さんたちと一緒に……。

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