第65話

四章 九節 ようやく解読が終わったけど
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2020/10/17 16:46


「う……うぅ……」

 お掃除をはじめてから、大体五分がたった。カイトが小さな唸りをあげた。どうやら、相当疲れているらしい。

「カイト、おきた?」

「おき……たけど……つかれた。あ、解読作業は終わったよ」

「ありがとう!!」

 そういってカイトは、私にノートの切れ端を渡してきた。

「多分、これで間違えはないとおもうんだけど……あと、片付けておいてくれてありがとう」

「こちらこそお疲れさま!! とりあえず、読んでみるね」

ーーー

 music countryの女王の子孫、magic countryの王の子孫、彼らは始祖の魂と同じ資質を持っている。彼らがその力を解放し、どちらかの人としての命を賭し、もう一方がその力を奪い神に等しい永久の命を持つ存在になれば、強大な力を持ち闇の底からこの地を滅ぼそうとするmagic countryの王の血を継ぎし邪悪な者の力を打ち消し、この世界を清らかに照らす尊い月と太陽の光が誕生するであろう。しかし彼らが美しき心を黒く染める、もしくはその心を絶望に賭し、希望や夢を捨てればこの世界に光はやってこない。

 この世は、全て闇に住まいし者によって醜いものへと変えられてしまうだろう。あの頃・・・のように、木々は枯れはて、地上にある都市はすべて滅びてしまう。

 この文章を読み解きし、この国の真の歴史を求めるものよ。これは、愚かな間違えを犯した私たちが出来る唯一の償いだ。どうか始祖の魂を持つものを見つけ出して、この世の闇を奥底に沈めてほしい。二人をつれて、古の時代から存在する遺跡へ向かえ……さすれば……

ーーー

「……うーん、よくわからない……」

 なんか小難しいことが書かれているのは分かるんだけど……逆にそれ以外わからない。眠くて頭がはたらいていないのもあるかも。

「そういわれると思って、ちょっと僕個人でも考えてみたから聞いてもらってもいい?」

 お、カイト先生が解説してくれるみたい!! やったぁ!!

「勿論!! むしろお願いします!!」

「……とりあえず、これにまとめてある」

 今度は違う紙を差し出してきた。用意周到すぎるよ……

ーーー

まず解釈

・この世界を滅ぼそうとする悪い人間がいる。その人間は、magic countryの王の血を継いでいる……つまりmagic countryの王の血を引いている。その人間は、とても強い。だけど、music countryの王族の子孫とmagoc countryの王族の子孫が力を会わせれば倒せる(どちらも生きているのかどうかわからないけど……)。

・その一連の行動が終わったら命を賭す……つまり、どっちかが死んでしまうのだと思う。そして、死ななかった方はもう片方の命……つまり死んじゃった方の命をもらって、神様に近しい存在になるのかな。神に等しい存在って言うことは……その人は死ななくなって人間がいつしか滅びた世界をずっとひとりぼっちで生きていかなければいけなくなるんだと思う。

・僕個人の考察でもあるけど、その悪い人間って言うのはエドナを黒猫にしたレイシアっていう人間だと思う……多分。


やるべきこと

・music countryの女王の子孫、magic countryの王の子孫、それぞれを見付けなければいけない。

ーーー

 music countryの女王の子孫……それってもしかして、私の事だったりしない⁉ お母さんが旅に出る前に話してくれた話が本当なら……間違えなく私の体には女王の血が流れているんだよ……。それじゃあ、私かその人が死んじゃう可能性があるの!? 命を落とさなきゃ世界が救えないってこと!? 

 それに、生き残ったとしても……こんなの地獄じゃない。大好きな人も、何もかもを失った世界を独りぼっちで生きなければいけないの……。

「読み終わった?」

「うん……だけど……これって、謎を解決しなければ賢者様は何も教えてくれないんだよね? 無理じゃない?」

 music countryの女王の子孫はここにいても……この話の内容だと、magic countryの王様の子孫も必要なんだよね? 期限は一週間……だっけ、みつけられるきがしないよ。

「まあ、そうだよね。music countryの女王の子孫とmagic countryの王様の子孫を見付けるのは不可能だ」

「じゃ、じゃあどうするの……このままじゃ世界を滅ぼせるっていう剣を、レイシアの手に渡っちゃうよ……そうしたら本当に世界は……」

「大丈夫、その心配は要らないよ。少なくとも、片方の手間は省けるから……」

「どういうこと?」

 私は、思わずに聞き返してしまう。片方……何か、嫌な予感がした。

「だって、magic countryの王の子孫はここにいるからね・・・・・・・・」 

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