「エイカ、本当にこっちの方向であってるの?」
「あってるはず……だよ」
カイトの不安そうな声が、不意に後ろから聞こえた。一応今は私がカイトから地図を取り返して、来た道と同じところを進んでいるんだけど……何せ同じような道を進んでいくだけだからちょっと不安になるんだよね……最悪迷ったら精霊さんに力を貸してもらえば良いんだけど……本来ならその程度のことで呼び出してはいけない存在だからね……。
「たぶん大丈夫だぞ、私の勘はよく当たるし……そもそもエイカが迷うことなんてそうそうないだろ?」
私にだっこされているエドナがそういった。たしかに、わたしはよくへまをやらかすかもしれないけど地図に関しては間違えたことないからね⁉ ……あまり。
一度だけまだ村にいた頃やらかしたことがあるんだけど……小さい頃だしきっと、カイトも覚えていない……くらいだから。ちょっと遠くにある湖に私とカイトの二人で行ってみよう!! ってなったときに、思いっきり反対方向に進んでいたんだよね……。最終的には探しに来てくれたお母さんたちにたすけてもらったから平気だったんだけど。
「まあ、そうだね……ごめんエイカ。不安にさせるようなことして」
「大丈夫!!」
なるべく不安を伝播させないように元気よく答えた。はぁ……本当に道を間違えていないことを祈ろう。本当に最悪の場合は精霊さんに助けてもらえば大変なことにはならないけどね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。