第37話

二章 一節 緑樹の森を進みながら
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2020/09/12 16:53


 何処までも続く緑樹の森をエドナとカイトと三人で進んでいく。風が深い緑色に染まった葉を揺らして、白き光を反射する。ここ数日はずっと街中にいたから故郷の村にいた時のようなこの景色はひどく懐かしい。

「そういえばエイカ、調子はどう? さっきまですごい調子悪そうだったけど……」

「大丈夫!! 結構よくなったから安心して」

「それならよかった」

 数日前までエドナが調子悪かったこともあるからか、かなり心配されているな……。私は体が丈夫なのが自慢だから大丈夫なのに。

 いや、むしろそれだからこそ心配されているのかな!? 村にいた頃も私が風邪をひいたと言ったら村中の人に心配されたし……いつもが元気すぎて弱っている私は珍しいってお母さんにも言われたことがあるくらい。

 本当に思い返してみれば自分が体調を崩したことはなかった気がする。いつも元気に走り回っていた、精霊さんと契約するために準備していたりしたからな……。

 だからこそ村の子供たちとあまり馴染めなかったりもした。精霊さんと契約する力を持っているせいで、ほぼ腫物扱いだったんだよね。カイトも同じような感じだったし……あまり使える人がいない力を持っていて、いいことはあっても悪いこともたくさんあったんだ……。

 因みに私の体が丈夫なのは精霊さんと契約しているからである。精霊さんと契約することによって、精霊さんの力を近くにいない状態でも自分の体の中に力を取り入れることができるのだ。

 私の場合は特に生命の上位精霊であるフェリックスさんと契約をしているからとくにその傾向が強い。だから、ほかのひとにくらべて体が丈夫で、気味悪がられるのは致し方ないことなのだ。

 そのはずなのに、なぜ今体調が悪くなってしまったのだろうか? イフリートさんという、途方もない魔力を持った精霊さんと契約したばかりであるはずなのに。何か不吉な予感がしてしまうのはなぜだろうか?

 とにかく!! 今はこの先の[magic country]への旅の安全を優先しよう。最悪の場合、フェリックスさんに頼んで直してもらってもいいしね……。

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