青いチョークに、十分な大きさの白い紙を用意して、魔方陣を書いていく。複雑な形をしているそれは、昔覚えるのにすごい苦労したけれど……今となっては、簡単にかける……はずだった。
何度記憶の糸を手繰り寄せようとしても、一向に思い出すことができないのだ。なんでだかはわからない……少なくとも、ちょっと前に精霊さんを呼んでいたときはできていたはずの事なのに……。
チョークをもう一度手に持って何か書こうとしてみた。けれど、手が進んでいくことは絶対になくて、むしろ頭がこんがらがり過ぎておかしくなってしまいそうだ……。
(えーっと、呪文は思い出せるんだよね。ただ、魔方陣の書き方だけが思い出せなくて……)
何か、いいものはなかっただろうか? 精霊さんが呼んでいるってことは何か大切なことがあるはずだから……
そういえば、ハジマリノシティでアイシャさんにもらった本がなかっただろうか? 原本は昔の言葉でかかれていたけど、エドナの呪いを解く方法を探していたとき、ノートかなにかに写していたはず……。
そう思って、バックを探ってみると
(あ、あった……)
そこには、あのときと全く変わらないノートがあった。ペラペラと内容を見てみると、【精霊について】というページがあったことを確認できた。原本を出して、ノートにかかれているページと同じページを開く。すると、そこには複数の魔方陣が描かれていた。その中で、[炎の上位精霊 イフリート]という文字を発見すると私はそれを丁寧に紙に写し始めるのであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。