賢者様のお家は、変わっているものらしい。猫がいっぱいいて、たくさん本があって……人間が住まえないほどに汚いらしい。けど、そこに行ってお話を聞かないと何処に行けばいいのか分からないし行くしかないんだけどね……。
「ねぇカイト、どの位の時間歩けばその賢者様の家につくんだっけ? 詳しく教えて」
「んーっと……あと大体三時間くらいかな」
「そっか……」
因みにエドナは、私たちの後ろをちょこちょこと歩いている。ちょっと可愛い(笑) けど、ちょっと大変そうだから私はエドナをだっこした。
「何を!?」
「そんな警戒しなくていいでしょ……歩くの大変そうだからだっこしてあげる。ね?」
ちょっとばたばたしていたのを少し落ち着けて、私は言う。
「ありがとう……」
ちょっと重いけど、仕方ない。私はエドナを腕に抱いて、歩き始めた。
「カイト、エイカ、ごめんな」
「大丈夫だって、三時間くらいなら私も大丈夫だから」
「ははは、村でかけっこは一番だった君なら余裕だろうね
「ふふん、精霊さんのお陰だよ」
そう、精霊さんと契約することで体力がだいぶ上がったんだよね。だから、スポーツでは誰にも負けなかったんだ。
「精霊と契約できるっていうイレギュラーなことが出来るのもエイカくらいだったしね……」
「それをいうならカイトの錬金術だってそうでしょ」
カイトの力は精霊さんとの契約より凄いよ……自覚してないのが、怖いところだ。
「さて、それじゃあ早くいこうか。もうちょっと早く歩けば一時間半くらいでつくよ!!」
「半分の時間ってことは……倍の速さで歩くってこと?」
「そう!! 頑張ろう」
という事で走りはじめた。カイト置いてきぼりにしてるけど……いっか!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!