第32話

一章 三節 ちょっとしたお話
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2020/09/12 16:51


 魔法の特訓をエイカに着けてもらってから、大体六時間程度が経過した。

「もう少し、魔力を安定させろ!!」

「意識して魔法の動きを確認しろ!!」

とか色々な、さっき言われた言葉が自分のなかで反芻してくる。普通、六時間もぶっ続けで練習なんかしないよね!? すっごい疲れたよ……

 けど、一番疲れていそうなのは黒猫の体で体力のないなか、六時間もぶっ続けで練習に付き合ってくれたエドナなんだよね……本当に、お疲れ様。そして、ありがとう!!

「エイカ、お疲れ様。これ、さっきそこで買ってきたお茶」

 ここで、途中から居なくなっていたカイトがいきなり現れて、見たこともないような容器に入ったお茶を差し出してきた。私は、ありがたく受け取ってお礼を言う。

「ありがと……」

 中身は冷たい緑茶だった。カイト、アイシャさんの旅館に泊まってから和の国の文化にはまっているらしい。押し付けられても困るんだけど……まあ、美味しいからありがたく頂くんだけどね。

「それでエドナ、エイカの魔法の進捗はどう?」

「それが、凄いんだ!!私も出来るとは思っていなかったものすらも易々とこなしてしまうんだ。多分、契約している精霊の力がエイカに力を貸してくれているんだと思う」

 へぇ……そのはなしは初めて聞いた。やっぱり、精霊さんは凄いんだね。自らが強いだけじゃなくって、精霊さんと契約している私にも力を貸してくれているだなんて……

「あはは……そりゃ、イフリート様とかアイオロス様とか色々な上位精霊と契約してるんだから強いはずだよ……」

 ちょっと呆れが入った顔で笑うカイト。私も、つられてあははと笑った。

「そういえば、エイカってなんで精霊と契約をはじめたんだ?」

 不意に、エドナが問いかけてきた。私は、少しだけ遠い過去を思い出そうとした。しかし……

「それはね……ごめん、忘れちゃった☆」

 実際は、生まれてから当たり前のようにやって来た事だからいちいちどうして始めたかなんて覚えていない。否、覚えていられるわけがないのだ。

「まあ、エイカらしいと言えばエイカらしいな」

「そうだね」

 私ってそんなイメージだったっけ? というか、カイトは同調しないで!!

「それじゃあ、最後にカイトに練習の成果をお披露目するぞ。いいよな、エイカ?」

「いい……けど、そんなに長い時間やらせないでね?」

「ああ、すぐに終わらせる予定・・だ。」

 ひえ……上手くいかなかったら何回もやらせるつもりだ……。けど、上手くいけばすぐに終わるんだよね?

「望むところだ!!」

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