青々と茂った木々に、小鳥たちのさえずり……辺りには自分達の足音だけが響いていて、他の人間の気配は一切ない……見慣れた風景でもなくて……これは
── 確実に道に迷いました!!
おかしいよね……道のりで進んでいたのに間違えるとか!! どうして何だろう……。普通に謎なんだけど……。
「エイカだって人のこと言えなくない?」
「う、うるさい!!」
カイトにもそんなこと言われちゃうし……何なんだろう、ちょっとだけ腹立って来たんだけど……。
「落ち着け、エイカ」
「ごめんごめん」
エドナにはどうやら私がキレかけているのに気が付いたのか……最近キレやすいし……ちゃんと睡眠も取っているのにな……。短気なのはよくないのに……。
とりあえず、落ち着かないといけないのはわかるけど……寝不足でおかしくなることとか、そういうことだったら昔あったんだけどな……。寝不足でもないのにおかしいのは確実に……賢者さまの話を聞いてからかな……。
「エイカ、ちょっと疲れてない? 連日色々とあったから無理はしないでね……今日ちょっと早めに休む?」
「そうだね……ありがとう!!」
無理矢理声を明るくしてカイトにいった。何だろう、最近テンションの上下が激しい……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!