第106話

三章 九節 疲れ
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2020/12/20 15:22


「準備ができたよ~」

 連日の疲れがたまっていたせいか、木陰で木にもたれかかって目をつぶっていた私を起こしてくれたのはカイトの声であった。

「あれ……寝てたの……ごめん、起こしちゃった?」

『ううん、こんなところで寝ちゃったら風邪引いちゃうし、ありがとうね。起こしてくれて』

 私が、メモを見せつつカイトに微笑みかけるとよこからそれを覗き込んできたイフリートさんが言う。

「いや、ちょっとつかれているみたいね……もう少し寝てても良いわよ。寒くなったら私が暖めてあげる」

「それって……この辺りが燃えませんか?」

 カイトがすかさずつっこんだ。しかし、イフリートさんはおちゃめな笑顔を浮かべて言う。

「平気よ、火加減の調節くらいできるわ。それに、もしこの辺がもえてもウンディーネちゃんがどうにかしてくれるでしょう」

「……勘弁してください……」

 ウンディーネさんがうんざりした声で言う。……本当にこの辺りが燃えたら取り返しのつかないことになるよね……。

「まあ、冗談はともかくとして休めるうちに休んでおきなさい。休憩は大事よ?」

『いいんですか?』

「勿論、だってご主人様が倒れるとか冗談にもならないわ~。それに、これからレイシアと戦わないといけないんですもの」

『……お言葉に甘えて、眠らせていただきます』

「エイカ、しっかり休んでね」

『カイト、ありがとう』

 そうして、私はもう一度目をつぶるのであった……。

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