第3話「勧誘」

春）俺と一緒に悪い事しない？
翼）はぁ！？

何だコイツと思ったのは言うまでもない

春）ああ、誤解しないでね？
悪い事と言っても本当の悪事じゃないから。
翼）どう言う事だよ。
春）最前線。
翼）！

春の言葉に反応する

春）行きたいんでしょ？
翼）なんで...
春）ここに配属になった経緯は零から聞いてる、
その上で最前線に行きたがってるのも。
翼）...で？結局、何が言いたいんだよ。

駆け引きめいた言い方にイライラする

春）ごめん、ごめんw
俺も行きたいんだよ、最前線に。
翼）えっ？
春）追いかけたい人が居るんだ、
その人は最前線でよく目撃されててね。
翼）目撃？
春）軍に所属せず単独行動してるから
なかなか居場所が掴めないんだよね。
翼）誰だよソイツ。
春）ゼネラル「至極」睦月 始だよ。
翼）「黒の王」か！

噂で何度も聞いた
神出鬼没で現れては直ぐに消える
それでいて助けられたソルジャーは多く
慕うものも多い

春）翼は志季さんを追いたいんだよね？
ここは似たもの同士、手を組まないってお誘い。
翼）...

正直言って魅力的な誘いだった
だけど、信用たる人物なのか分からないから
二の足を踏む

春）今すぐ返事をしなくてもいいよ、
どうせすぐには実行出来ないからね。
翼）なんで？
春）時にチャンスはジッと待たなければ
来ないものだよ。

ガチャ。

零）春？珍しいな詰所にいるなんて。
春）今日は新しい隊員が来るって聞いたから
見に来たんだ。期待してるよ、翼。
翼）ぁ、ああ。
零）随分と気があったようだね。
春）うん、いい関係をつくれると思ってるよ。
それじゃそろそろ俺は行くね。

ひらひらと手を振って出て行く春を見送る

零）まったく、食えない男だな。
翼）どうゆう奴なんだ？
零）春かい？根は真面目だし、軍務もちゃんと
こなしてるそれに最近は楽しそうにしてるかな。
前は感情を表に出そうとはしてなかったから。
翼）ふーん。
零）どんな話をしたのか知らないけど、
悪いやつじゃないから安心してくれ。
翼）分かった、色々教えてくれてありがと。
ちょっと散歩して来る、任務が入ったら戻る。

気持ちの整理をつけるためにも
1人になりたかった
非常階段に出て踊り場で空を見上げると
自然と思考が整う

翼）最前線への近道になるかもしれない。

もともと正攻法で行けるとは思っていない
命令違反だってどんとこいだった

翼）いいじゃん、リスク上等！
やるならとことんやってやる。

太陽に向かって拳を伸ばす

翼）今に見てろよ、すぐに追いついてやる！


向かう場所はハッキリと見えた
足元が泥沼でも諦めなければ辿り着く
覚悟は決まった後は進むだけ



つづく