第11話

片道切符
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2022/01/08 09:09
第10話「片道切符」

第5軍詰所

ここにも最前線の情報が入ってくる

英)上位種と大量のリグレット..
壱流)最前線か...
壱星)亡国から流れて来てるんだよね?
柊)ああ、その方向から流れ込んで来ている。
大)最前線。

柊)上に呼ばれているんだった、行ってくるよ。
壱流)なぁ!俺たちも最前線に行けないかな!?
英)イッチー。
柊)俺たちは特に決まった担当場所はないが、
上の命令も無しに移動する事は出来ない。
壱流)そうだよな、ごめん。
柊)掛け合ってはみるさ。
壱流)✨...うん!
壱星)頑張って、柊羽。

柊)最前線か...

期待を背負ってはみたが正直無理だと思っていた
保守的な上の人間がこれ以上の人員を割いてまで
最前線を守るとは思えないからだ

柊)何を隠している...

空が怪我をしたあの作戦も
最前線ではあったが亡国の端も端で
医薬局の研究施設しかなかった
奪還する必要があったのか、
今でも疑問に思っている

司令室の前まで行くと見知った顔が待っていた

孝)やっほ〜柊羽。
柊)孝明、戻ってたのか。
孝)報告にね。
柊)凰香がすごい剣幕で探してたぞ?
孝)あ〜
柊)いい加減、ちゃんと任命したらどうだ?
孝)分かってるんだけどね、副官は近いだろ?
柊)ん?
孝)俺は安全な場所に居るわけじゃないからさ。
柊)本人の意思が重要なんじゃないか?
孝)...痛いとこつくね。
柊)置いてかれる気持ちはよく分かるからな。
孝)成る程、説得力あるね..
そんな、柊羽に、はい!プレゼント。

ポンと渡されたのは鍵

柊)これは?
孝)宝箱の鍵、俺の代わりに渡しといてよ。
柊)まさか...孝明!
孝)じゃ、またね〜

追求する前に逃げられる

柊)相変わらず掴めない奴だ。

気を引き締め直し司令室へと入った
上への掛け合いではいい結果は得られなかったが
最大限の譲歩は勝ち取った

柊)ただいま。
壱流)お帰り!どうだった!
柊)悪いな、最前線は無理だった。
壱流)そっか..
柊)だが、前線への出向をもぎ取ってきた。
壱星)前線への出向...
最前線の近くまで行けるって事だよね?
柊)そうゆう事になるな。
英)良かったね、イッチー。
壱流)うん!

柊)あと、別件で大に頼みたい事がある。
大)俺に?
柊)お使いを頼みたいんだ。
大)...お使い、何処に行けばいいんだ?
柊)最前線にいる元ゼネラルへ。
大)それって...
柊)待たせたな、あいにく片道切符だが..
大)充分だ、ありがとう。

荷物を受け取った大はガレージへ向かう
ここはソルジャー個人の所有する
車やバイクが保管されている

大)親父、使わせてもらう。

亡き父親の形見の大型バイク
コロニーからこっちに来ても整備はしていた

里)そこのお兄さん、俺も乗せてよ。
大)里津花、どうして..

振り返ると里津花がそこにいて

里)柊羽に聞いたよ、行くんでしょ?最前線。
大)そうだけど、アンタは第3軍の所属だろ?
里)それなら空にぜーんぶ、返して来ちゃった♡
大)は?
里)預かってただけだからね、ほら行こう!
大)...メットは付けろよ。
里)ありがとう。(微笑んで)

エンジン音がガレージに響く

大)しっかり掴まってろ。
里)うん。...この荷物は?

大の背中に括り付けた荷物に気づき問いかける

大)お使いだ。
里)へぇ。
大)飛ばすぞ?
里)もちろん!

バイクは最前線へ向けて走り出した


つづく

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