蘭 side
蘭「あ〜、がちでつまんねぇ」
今日約束してた女との話しは自分から蹴った。
気分じゃなかったし、それに 雨が降り始めた 。
雨の日はどことなく、ろくな事がなかった思い出。
9歳の頃の記憶が少しずつ鮮明に脳裏に浮かび始めるのを自分で断つように目を閉じた。
" ほんとにろくな事しないんだからッ! "
" あんたなんて子、産まなければよかった!! "
" ヒグッ……やめてよぉ……やめて……竜胆には手を出さないで……やめッ…やめて!!! "
蘭「……………」
蘭「あ"ー、くだらねぇこと思い出しやがって…」
あの日から何故か あなた の顔が忘れられない。どんな場面を、違う誰か と過ごしていたとしてもぜったいに何かの拍子で思い出してしまう。
辛い記憶や思い出はこんなに早く拭いきって俺は………
俺は 大人 になったはずなのに
あー、やめだやめ。
携帯を開いて最近新しく交換した女の連絡先を選択すると簡単な文で綴ったメールを送信した。
俺だって分かってる
こんなことしたって
俺の気持ちなんてきっと埋まらない。
それでも、、星海に アイツ がしたことがほんとなら俺は
あいつを慕うことだって、幼きときに救ってもらった星海に対してもう顔向けできなくなってしまう
その時だった。
ガチャっと家の玄関が開けられた。
ドッドッドっと、心臓が鳴った。
おまけに冷や汗まで出てきた。
蘭「…はは、まじかよ………笑」
親父は俺らのことなんて気にもとめてないからここには来ない。
ならあと誰が来る?
俺が一生許さないと思ってる アイツ しかいない
灰谷千鶴「蘭はどこ?」
蘭 side END
【プロフィール】
名前 灰谷 千鶴
概要 灰谷蘭 竜胆 の母。
彼らの トラウマ になるきっかけを作った女
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。