第2話

僕だけ見て?(後編)
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2021/09/10 03:03
(ピンポーン)

パソコンの画面がタイムアウトして、部屋が暗くなってきた頃、家のチャイムが鳴った。

こんな時間に誰だ?

申し訳ないけどこんな泣き腫らした顔見せる訳にも
いかなくて、居留守させてもらう事にした。


(ピンポーン…ピンポーン)

ちょっとしつこいなぁ。
でも3回鳴らして出ないんだから、さすがにいないと
思うよね?


(ピンポンピンポンピンポン)


まひとくん。
誰!?うるさ…
てるとくん
まひとくん!
あまりのしつこさに少し苛立ちを覚えてしまい
もういいやと、玄関に出るとそこには大好きな人が。

僕の名前を呼んで抱きしめてきた。
走ってきたのか、少し肩が上下に動いてて
心臓の鼓動も少し早い。

あぁ、大好きなてるとくんの匂いだ。
そう思うとせっかく引っ込んだ涙がボロボロとまた
溢れだしてきた。
…ダメだって。てるとくんにこんな姿見せられない。
まひとくん。
何、どうしたの?
ごめんけど今はちょっと…
てるとくん
ごめん!
うつむいて涙が見えないようにして謝ると
被せるようにてるとくんが謝ってきた。

なんで?謝るのは僕の方だよね?
まひとくん。
なんでてるとくんが謝るの。
僕が…
てるとくん
まひとくん、話があるから
上がってもいい?
嫌だ、聞きたくない。
どうせ別れ話でしょ?僕よりばぁうくんが好きだって
言うんでしょ?


でも、てるとくんの幸せが僕の幸せだから。
ここで受け入れて、最後くらい潔くてカッコイイ
僕でいよう。
まひとくん。
いいよ。どうぞ。
てるとくん
ありがとう。
僕らはリビングにあるソファを背もたれにして
床に隣り合わせに座った。
てるとくん
まひとくん、本当にごめん。
泣かせてごめん。
まひとくん。
なんでカメラついてないのに泣いてるって
分かったの?
てるとくん
空気感でなんとなくだよ。
でも本当に泣いてるなんて。
僕最低だね。
まひとくん。
なんでてるとくんが謝るの?
謝るのは僕の方でしょ?
てるとくん
まひとくんは何も悪くないよ。
なんでてるとくんが謝るの?
他の人のこと好きになってごめんなさいってこと?

でも空気感で読み取ってくれるくらいてるとくんは
僕のこと分かってるんだ。
そう思って少し嬉しくなってしまう自分が憎い。
終わらせるって決めたのに。
これじゃ、、
まひとくん。
終われないよ…
てるとくん
まひとくん?
まひとくん。
僕てるとくんと別れたくない。
ごめん、僕がダメな子だから。
僕が、僕が、、
てるとくん
まひとくん!!
てるとくんは力強く僕のことを抱きしめてくれた。
てるとくん
嫉妬させたかったの。
嫉妬して拗ねた感じのまひとくんを
見たかった。まさか泣くとは思ってなくて
軽率だった。傷つけて本当にごめん。
まひとくん。
なんでそんなこと…
てるとくん
まひとくん可愛いから
不安だったの。
僕だけ見て欲しくて、
僕のことだけ見て欲しくて。
じゃあ…
まひとくん。
これからもそばにいていいの?
てるとくん
当たり前じゃん。
むしろ離さないから。
ああもう、なんでこの人はそういうことを
サラッと言えちゃうのかな。

さっきまでの不安が嘘のように心が落ち着いた。
てるとくんの僕を見る目が、僕に向ける声が
全部全部大好きなんだ。

なんで信じれなかったのかな。
てるとくん
ふふ、今日のまひちゃんは泣き虫だね。
まひとくん。
誰のせいだと…
安心したからまた涙が止まらない。
僕こんなに泣き虫だっけ。

でもてるとくんの前ならいっかとも思ってしまう
自分がいる。
まひとくん。
てるとくん、僕だけ見て?
_____

END

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