前の話
一覧へ
次の話

第1話

1話
1,525
2021/04/29 06:36
ザワザワ   ザワザワ
噂によると今日は席替えらしい。
席替え、私は苦手だ。
席替えなんてしてもいいことないし。
「うわ、アイツと隣かよおもんね、最悪…」
とかコソコソ言われて。
先生
じゃあみんな クジ引いてー
私が狙うのはぼっち席で有名なあそこの席。
一番後ろ。
そして何より隣の席がない。
人見知りな私には最高な席だ。
何故みんなあそこの席になったら落ち込むのかよく分からない。
先生
はい、次 あなたの名字さん引いて〜
順番が回って来てしまった。
こっち?いやこっちの方が… もういいや このクジにしよ!
______________________________
もうすぐ席が発表される。
心臓がドキドキする。
お願いします神様。お願いします!
先生
今月の席、発表します。
黒板に席がかかれた紙が貼りだされた。
男子
よっしゃぁぁー!
女子
やったね!席近いよ!
私も見に行こ。
え 嘘でしょ。
ぼっち席どころか…
女子
ねーねー?御幸は席どの辺?
御幸一也
俺?俺はあなたの名字さんの隣
女子
うっそどこどこ!? うわぁー結構離れちゃったね
御幸一也
そーだな
“御幸一也”…
名門と呼ばれるこの青道の野球部で正捕手をしている。
この間の試合も、確かホームラン打ってたっけ。
よりによってこんな人気な人と隣になっちゃったなんて。
先生
じゃあみんなー 席動かしてー
先生
動かし終わったら各自休憩ね
私の席は、この辺かな?
ガタカダ 
あ、御幸くん。
とりあえず挨拶した方がいいよね…?
あなた
あの。御幸くん…
男子
お!御幸、席近いじゃん よろしくな
御幸一也
おーよろしく
ダメだ、ここに来て人見知り発動。
声が出ない。
みんなザワザワしてるし、私の声、御幸くんには多分聞こえてない。
おい御幸、あなたの名字呼んでるぞ?
この声は…!!
倉持洋一
つーか窓側の席とかズリぃんだよ!席変われ!
“倉持洋一”
私が野球で大好きなポジション、ショート!!
そして塁に出た時の瞬足!!
この間の643のゲッツー!!
亮さんとの二遊間!!
推さない理由なんてない!!
私が今一番推している高校球児!!
御幸一也
え まじ?どうしたのあなたの名字さん
あなた
あ、あの、1ヶ月間よろしくお願いします
御幸一也
うん よろしく
あなた
じゃあ、私はこれで、
ガタッ
痛った。
机に足ぶつけた。最悪。恥ずかしい。
御幸一也
うぉ 大丈夫?
あなた
大丈夫デス。
倉持洋一
机からなんか落ちたぞ
倉持洋一
これって
あなた
あ、ありがとうございます
御幸一也
なぁそれ野球のスコアブック?
あなた
まぁそうです
倉持洋一
野球、好きなのか?
あなた
うん、好き、です
御幸一也
見ていい?
あなた
どうぞ
御幸一也
あ、これ去年の試合の?
御幸一也
みに来てたの?
あなた
うん 行ったよ
御幸一也
これは稲実の予選の1回戦?
あなた
うん
倉持洋一
よくわかったな御幸 
御幸一也
なぁちょっとこれ借りていい?
あなた
え?あ、いいよ
倉持洋一
よくこんなにいっぱいかいたな
倉持洋一
って 居ない アイツどこ行った?
______________________________
ヤバイって御幸くんだけじゃなくて倉持くんとも喋っちゃったよ!
神様ありがとうございます!! まさか倉持くんと喋れるなんて…!
席替えなんてしてもいいことない  なんて言ってゴメンなさい!!
私別に変な事言ってなかったよね?
ちゃんと受け答えできてたよね?
コレは家帰って反省会開かなきゃ!!

プリ小説オーディオドラマ