無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

前の話
一覧へ
次の話

第5話

♯3
こちらに編入して、早一ヶ月が経過した。
…少なからず、こうなるんだろうなって事は分かってた。
一つ、想定外な所があるなら。
ターゲットのスポットライトが私の大切なメンバーに当てられた所だ。
私はいじめっ子達(しかも男子)を冷たい目で一瞥し、私の大切なメンバー__リリの手をとってズカズカと歩き出した。
リリ
え…ねぇ、櫂
………
カツカツと、真新しい上履きが等間隔でリノリウムを打つ音が2つ。
リリ
…櫂、大丈夫だよ?私、こんなくらいで
ごめん
…ごめんね…っ
大切な、大切なメンバーの異常にさえ気づくことができないなんて、リーダー失格だ。
気がつけば私は悔しさと情けなさの混じった、汚い感情から成る涙を流していた。
リリ
ありがとう、櫂
リリの方が何倍もつらいはず。
慰めてくれているのに、逆に涙がとまらなくなった。
そして、同時に決意したんだ。
私が、絶対に止めてみせるから
リリ
…うん、宜しくね
~~
次の日の放課後、リリの後をこっそりつけると、やはり件のいじめっ子が待ち構えていた。
手や言葉のナイフが出るまでは流石に私も止めに行けないので、様子を窺う。
そして、いじめっ子の怒声が響き、私が柱から出ようとしたその瞬間。
海斗
しーっ、だよ
そう言った海斗が私を片手で制し、
海斗
あのさぁ、弱い者をいたぶるの、そんなに面白いかな?
器用にリリだけを残して足元を払ったあと、馬乗りになるなり手で押さえつけるなりして彼らを拘束した。
そんな僅か10秒ほどの出来事に、いじめっ子含め私達は呆然としていた。
___どうして、私はどこまでも学習しないんだろう。
守ってあげるとか口だけほざいておいて…っ
後から思えば、私はこのとき酷く落ち込んでいた。
だから、リリの顔つきと視線がどうなってるかなんて所まで、気が回らなかったんだ。
おーい、櫂さぁん?
おーきーてーまーすーかー?
紺…
後ろにカッコ棒が見えそうなくらいの棒読みにそぐわないその優しい表情。
うん、起きてる。
まるでお姫様にするみたいにうやうやしく差し出された手を取り、四人で部活に向かう。
私もだが、リリについては何も口にしない。
そのしじまの中、落ち着いてきた私の頭の処理が追いついてきた頃。
気がついたことがある。
__余談だが、私は観察というのがめっぽう苦手だ。
特に、気がついたことの欄。
観察眼のかの字もない私にとっては、いつでも難題として立ちはだかった。
そんな私でも気づいてしまうレベルの物ならば、余程なのだろう。
私の周りは、ピンク色の空気が渦巻いている。
ついでに言っておくと、私は惚れた腫れた系の話も苦手だ。
それならば、この所謂“ヤキモチ”と言う奴も、余程なのだろう。
部室に近づくにつれて、ピンクというより、集中の空気が混じりはじめたその薄紅色の空気の中、そう想った。