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第3話

♯1
とにかく、目立ってくること。
そのミッションを、ライバル校の文化祭で徘徊しているだけで達成できるのは、ボクら意外に居ないと思う。
そう、思っていたんだ。
???
そう、こずえさん、貴方に会うまでは!
__猫撫で声だ。

そんなどうでもいいことを、私はただぽけぇ…っとして聞きながら考えていた。
彼らが放つ、異様な雰囲気。


一瞬でも目を離すと、見分けがつかなくなる位にはそっくり。

アルビノ。双子。

極めつけに、ウチのライバル校の制服。
無駄にイケメンな彼(一人だけだった)に詰め寄られ、息を呑む。
開いた扉や窓から抜かりなく差し込む白露の日光、歌って踊った後の反動、スポットライトの熱の余韻、そして何より羞恥心。
私を汗だくのゆでだこにするには十分過ぎる材料だった。
最早、冷や汗かただの汗かだなんて、判別もつかない。
経験済み。
どうせ勧誘だ。


面倒だし、そもそもライバル校から誘われてあぁそうですか、じゃあやりますとはならないだろう…?
だが、この顔面国宝×2は未経験。
ライブ後に一人で残ってまで練習する必要があっただろうか。
後悔しつつも、体はどんどん水分を失っていくばかり。
それよりも、先決はどんどん近づいてくる片割れのお顔…!
体は意のままに動かず、呆然とするしかない。
ふれ…る…
???
…こら、海斗
めっ。
兄(?)の華麗なる引き剥がしによって、私の目の前に随分間隔が空いた。
どうやら海斗という名らしい弟(?)は少しむくれながらも、再度私に笑みを向ける。
確信犯だ…
ごめんなさい、自己紹介も無しに。
あ、いえ…
俺はあおい。紺色の紺って書いてあおいって読むんだ。
で、こっちは…
海斗
海斗かいと!海に料理の料の米偏を取ったヤツ!
…私はこずえ。別によろしくするつもりは毛頭ありませんので。
手にびっしょりとかいた汗をジャケットで適当に拭い、その場から歩いて逃げ出す。
海斗
あっ、待ってよ~!
待ってと言われて待つ馬鹿が居るもんですか。
どたどたとリノリウムを踏みならしながら部室に逃げ込んだ。
追いかけてこないなら、そんなに執着があった訳ではないのだろうか。
不覚にも、寂しいと思ってしまったのはメンバーには絶対に内緒である。
思ったより強い力で部室の扉を開くと、部室はしじまに包まれていた。
~~
今日も有意義な時間が過ごせたと思う。
遅れた経緯を説明すると…皆の顔が少しばかり明るくなっていた。
当たり前だ。
あの名門に、編入できるチャンスだから。
メンバーの中でもフユは、友達がそこに通っているからか私に、無言の圧力もとい期待の眼差しを向けてきた。
学園長に相談すると、意外とあっさり編入を許可してくれた。
親も、見るからに顔を輝かせていた。
私だって、あの双子が気にならない…訳でも、ない
…多分。
よって。
いいよ、彩芭の編入。
海斗
本当!?
私が断固拒否した日から、早一週間。
彼らは、飽きることもなく毎日、毎日つきまとって…
…最近はやや諦め気味だったけど。

それもあってか、今の二人の顔といったら…
言葉では説明できないが、敢えて言うなら“驚きすぎて死にそうな顔”。
…でも、いいの?誘った側が言うのもなんだけど、やっぱり…ね。
紺くん。いいって言ったからにはいいの。
…ありがとう。それを待ってた
海斗
櫂、よろしくっ!
うん。よろしく。
流石、名門と名門。目立った滞りもなく着々と準備は進み、いよいよ明日、編入する。
…編入試験の成績?
…聞かないでよね。
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