第2話

彼 ───────────────
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2021/06/06 03:20










………限界だ。
私はもう、この世界にはいられない。



罪悪感が全くないという訳では無い。

ここまで育ててくれた両親や世話になった先生、そして、共に学び、戦った仲間たち。


だけど、私がこの選択をするには全てを断ち切る必要があった。





……唯一、心から愛した者でさえ。









夏「や」

「犯罪者じゃん、何か用?」



同級生で、仲間で、彼女の一番の親友、家入硝子。
きっと、弱くて脆いあの子は、これからたくさん彼女の世話になることだろう。





硝「一応聞くけど冤罪だったりする?」

夏「ないね、残念ながら」

硝「重ねて一応、何で?」

夏「術師だけの世界を作るんだ」

硝「ははっ、意味わかんねー」




分からないだろう。
分からなくていいんだ、今はまだ。








硝「あ、五条?夏油いたよ。
…ヤダよ、殺されたくないもん」





夏「はは、別に殺さないのに」

硝「いーの、どうせ私には止めらんないから。
あんたもあいつも……あの子も」




夏「……彼女のこと、宜しく頼むよ。最後の願いだ」

硝「……ま、そばに居るくらいはしてあげる

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