第3話

あの日 その3
1,263
2019/09/09 04:51
お母さんにあったら、怒られるだろうな。
「心配したわよ」って。
それはそうだ。私が無理を言って行ったのにもかかわらず、1日帰ってこなかったのだ。
申し訳ない。何か買っていこうか。

そう思ったけど、やめた。
まず、一番に顔を見せないと。
これ以上、心配かけてはいけない。
私はもっとペースをあげた。




















あなた

なんだろう、この感じは。

なんか、いつもと違う。
みんなの目が、違う気がする。
いや、いつもと同じだ。
変わらない毎日だ。
家に帰ればお母さんと弟、妹たちがまってる。
まってる__________________
あなた

っ!お、お母さんっ!?!?

家の前に、母が倒れている。
血だらけだ。
母は末っ子の光代を抱えている。
あなた

お、お母さん???光代っ!

信じられない。
これはなんだ。
何があった。
なんでみんな________________
家のなかを見ると、血でいっぱいだ。
あなた

一郎!二月!三郎!……なんで?なんでよっ!
みんな、なんで。何があったのっ!?

そのとき、佐吉おじさんの言葉をおもいだした。
佐吉おじさん
佐吉おじさん
鬼だ。
あなた

これが鬼?鬼の仕業なの……!?

みんな___________________
あなた

私が、助けなきゃいけないのにっ!

そう思うといつの間にか、

走り出していた。
あなた

はっ……はっ……はっ!

息が苦しい。辛い。町に行って何が出来るのかもわからない。誰かが助けてくれると分かってるわけでもない。でも走る。それしかできない。今の私は、何を考えているかわからない。何も考えていない。そんな暇がない。
とりあえず、走らなければならない
あなた

お願いだから……っ!はぁ、はぁ。誰かっ!

走る。いつもは使わない、裏道で行く。崖のようになっていて、危ないからだ。でも、そんなこと考えている暇なんてない。早く助けなきゃいけないの。早く、早く早くっ__________
あなた

うわぁっあぁぁぁぁぁあ~ッ!

無我夢中で走っていたら、足を滑らせて落ちてしまう。痛い。涙がでる。でも、鬼に食べられた家族のほうが痛かったはずだ。だから、私は泣けないの。それより、ここは
あなた

どこ?…………ここはどこ?

わからない場所についてしまった。
田んぼがいっぱいある。平地だ。屋台が何個かあって、何人か人がいる。

どこだっていい、助けを呼ぶんだ。
みんな、あともう少し

待ってて
あなた

誰かッ!助けてください!家族が……家族が、鬼に食われてっ!倒れてるんです.お願いしますっ!お願い…しますっ!

みんなにうったえる。涙がたまる。でも、ながさない。必死にうったえる。
なのに


誰も助けてくれない。
なんで
なんでなの。
みんな見るのに
変な目で通っていく。
ほんとだよ。
冗談見たいに聞こえるけど
鬼に、食われたんだ。
なんで、助けてくれないの。
みんな、無視しないで。
助けて。
あなた

お願いしますっ!なんでもするからっ!
私の、家族っを。

胸が痛い。しっかり言葉がでない。
寒いなか、雪の降るなか走ってきたから、肺が痛い。死にそうだ。でも死ねない。
なのに



意識が遠退いていく。
誰か_____________________
知らない男性
知らない男性
おい、大丈夫か。おいっ………………………。
私は、目を閉じた。

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