「お前は、人を愛せよ。」
兄は2年前にながらスマホをしていて交通事故にあい、他界した。20歳になる前日だった。
母は最後まで「馬鹿な人。」と言っていた。
_兄について。_
僕より5つ上で、勉強ができて、スポーツも球技ならできた。優しく、笑顔の素敵な人だった。欠点があるとすればスマホが好きだった事だ。そのせいで、彼女と別れたくらいのスマホ馬鹿だった。
僕は兄が好きだった。深い意味はなく、胸を張って好きだと言えるくらいだ。
兄は寝る五分前、必ず話を聞かせてくれた。絵本のような話を毎日、どんな時も。それが亡くなる前日までだというのだから、よく飽きもせず話してくれたし、聞いていたなと思う。
兄は、不思議な力を持っていたらしい。
いつだったか、苦笑いで話していた。持っていても、なんの意味はないと。内容は最後まで話してくれなかったが、羨ましいとずっと思っていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。