第7話

私→兄②
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2018/11/24 05:41
「楽になりたい。」

20歳になる年だ。何か弟が質問していた。それを答えるとき、素敵な笑顔を見せていた。これももう見れなくなるのかと思うと、名残惜しい。ただ、一つ気になることがあった。

兄は子供を産ませていない。にも関わらず決行しようとしている。私の力を使うには、条件を満たさなければならないのに。

不思議に思っていると、二人になったときに説明してくれた。

「俺が自殺すれば、お前の行き場はなくなる。長男が産まれていないので、必然的に消えるだろう。」と、淡々と言った。

私は、誰も殺さず消えていけるのかと尋ねた。

兄は笑って「楽だろ。」と言った。
自殺。そんな方法は思いつかなかった。私を願わず死ぬなんて、そんなこと。

楽になりたい。そう思っていたから。

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