第2話

俺→弟①
25
2018/11/24 05:20
「僕も、力が欲しい。」

俺の弟は、無表情で、隠れて努力するタイプだ。俺とは真逆の存在。それでいじめられていたこともあった。抵抗もしないので抵抗しろと怒ったら、「面倒事にはしたくない。」と、冷静に言った。それが小1の言う事だから、俺もマセた奴だと思わざるを得なかった。



_力の話_

代々、継承されてきた力があった。それは、
「一度だけ自分の命と引き換えに人を殺せる。」
というものだった。
小1の時、父から聞かされ馬鹿馬鹿しいと思った。でも父は深刻な顔をしながらも目を輝かせていたのだ。

ただ力にも条件があり、それが
「長男を授からなければ発動されない。また、自分の死後、力は長男に継承される。」
といったものだ。
長男を授からなければ継承はされない。継承されてきたということはそういう事だ。

その三日後に、父は信号無視の車にはねられ他界した。新聞のご冥福をお祈りする欄に、父がいつも嫌がっていた上司の名前が挙げられていた。まさかとは思ったが、父はもういないので確かめようがなかった。

実感はないが、力は継承されている。
その証に、俺にしか見えない奴が父が死んだ日からまとわりついている。
女で、色白で、髪はポニーテール、白い無地のワンピースを着ていつもにっこりと清楚な笑みを浮かべ付いて来る。

会話を試みたら、なんと話せたのだ。
感情もある。
なんとも、不思議な力だ。

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