第3話

▼雲雀学園の入学式▼
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2022/11/11 07:49
雅 和歌
雅 和歌
うわぁ……ここが雲雀学園。
私は雅 和歌。今日からこの学園に通う中等部1年だ。
今、私たちの目の前に広がるのは本当に学園なのかと思ってしまうほど大きく豪華な作りの校舎。
安定には噴水やベンチなどもあり、まるで御伽話の世界に迷い込んだようだ。
雅 圭太
雅 圭太
うわぁ、すっげえ!広い!
雅 和歌
雅 和歌
ほらほら、もうみんな並んでるからこっち来て!
雅 圭太
雅 圭太
は〜い……
こんな感じで思いっきり列からは外れて校舎を駆け回ろうとするお兄ちゃんを止めるのも私の役割。
あ、君たち大丈夫?
お兄ちゃんを列に戻すのに苦戦していると、背の高い色白な男性が声を掛けてくれた。
どこか優しい雰囲気を醸し出していて、自然と警戒心は湧かなかった。
青色のネクタイ……もしかして高等部の先輩かな?
雅 和歌
雅 和歌
あ、はい。心配して頂きありがとうございます。
雅 和歌
雅 和歌
実は兄が中々列に戻ってくれなくて……
雅 圭太
雅 圭太
え!?俺のせい!?
雅 和歌
雅 和歌
当たり前じゃん。
伊月 静夜
伊月 静夜
あはは……まあ、特に問題もなさそうで良かったよ。
雅 圭太
雅 圭太
すみません……
珍しく自分から頭を下げて謝罪するお兄ちゃんに目を見開く。
この人、ちゃんと礼儀もあったんだな。
雅 圭太
雅 圭太
なんか今失礼なこと考えてなかった?
雅 和歌
雅 和歌
気のせいでしょ。
危なかった……なんで分かったんだろ?
雅 和歌
雅 和歌
……そういえばさっきから思っていたんですけど、先輩って高等部の方ですか?
伊月 静夜
伊月 静夜
うん、そうだよ。でもどうして分かったの?
雅 和歌
雅 和歌
えっと、制服が前調べていた高等部の制服にそっくりだったので……
確かこの学園の制服は、中等部が小洒落たセーラー服にネイビーの学ラン。
高等部の制服がYシャツやリボン、ネクタイに様々な色のカーディガンやブレザー、ベストだった気がする。
雅 圭太
雅 圭太
へぇ、和歌いつの間にそんなところまで調べていたんだ。
伊月 静夜
伊月 静夜
はは、君の妹ちゃんはしっかり者だね。そうだよ。僕は高等部3年の伊月 静夜。これでも高等部の生徒会長を務めさせてもらってきます。
雅兄妹
えっ!?
確かに高等部の先輩だとは思っていたけど、まさか生徒会長さんだったなんて……。
雅 圭太
雅 圭太
すげぇ!生徒会長さん!すげぇ!
伊月 静夜
伊月 静夜
え?あ、ありがとう……!
ああ、お兄ちゃんのかっけぇスイッチが入ってしまった……。
かっけぇスイッチとは、お兄ちゃんがとても強い憧れを抱いているものに遭遇したり、少年心的にかっけぇと思ったとき、かっけぇかっけぇを連呼して語彙力が低下してしまうことである。
というのはおいといて。
雅 和歌
雅 和歌
ほら!もう入学式始まるからそろそろ行くよ!先輩もお騒がせしました。
またお兄ちゃんの襟を掴んで引きずり強制連行をする。
雅 圭太
雅 圭太
い、いてててて!ちょっと待って!もうちょっと話しさせて!
雅 和歌
雅 和歌
いいから行くよ!
伊月 静夜
伊月 静夜
……あははっ!君たちは本当に見てて飽きないね。用があったら生徒会室にも遊びに来てね!
そう言いながら手を振る先輩に会釈をして、私たちもエントランスホールへと向かった。
雅 圭太
雅 圭太
また、会えたらいいな……

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