第6話

▽目指したいものは……▽
23
2022/11/19 08:09
キーンコーンカーンコーン。
昼を示すチャイムが鳴る。
雅 和歌
雅 和歌
ほら、立って!もう帰るよ。
今日は入学初日の為、お昼頃にはもう帰れるらしい。
流石に入学初日から午後まで授業があったらにもたないしなぁ。
雅 圭太
雅 圭太
いや、まだ準備できてないから!
雅 和歌
雅 和歌
お兄ちゃんが遅すぎるからでしょ!?そんなの10秒で済ませな!
雅 圭太
雅 圭太
お前の速さが以上なんだって!
雅 和歌
雅 和歌
はい私もう帰りまーす
雅 圭太
雅 圭太
あ、待ってー!!
今まで1人だけで帰ったことは無かった。
それなのに和歌だけ先に帰って俺が一人だけ帰ったら絶対寂しい!!
雅 和歌
雅 和歌
もう10秒で行きまーす
雅 和歌
雅 和歌
いーち
雅 圭太
雅 圭太
え?いや待て待て!
雅 和歌
雅 和歌
にーい
雅 圭太
雅 圭太
あ、準備!
雅 和歌
雅 和歌
さーん
雅 圭太
雅 圭太
えっと謎の冊子に教科書にノートを入れて……
雅 和歌
雅 和歌
よーんごーろーく
雅 圭太
雅 圭太
待って一気に6まで飛ばしてきてない!?
雅 和歌
雅 和歌
しーち、はーち
雅 圭太
雅 圭太
よし……全部入れれた!
雅 和歌
雅 和歌
きゅうじゅう!
雅 圭太
雅 圭太
はい、終わりました!
雅 和歌
雅 和歌
ほらぁ、やれば出来るじゃん!
雅 圭太
雅 圭太
最後の方飛ばしてたよね?
雅 和歌
雅 和歌
なんの事だか。
雅 圭太
雅 圭太
しらばっくれるな!
という冗談を交わしつつも楽しげに笑う和歌。
彼女の笑顔はとても綺麗で上品で、そして見惚れてしまうくらい美しい。
言葉では言い表せない程。
雅 圭太
雅 圭太
将来良くない輩どもが狙ってきそうだな……
雅 和歌
雅 和歌
ん?お兄ちゃん何か言った?
雅 圭太
雅 圭太
ううん、何でもない。
雅 和歌
雅 和歌
ふーん……。
何か腑に落ちない部分があるそうだが、納得してくれたみたいで良かった……。
雅 和歌
雅 和歌
あ、そういえばお兄ちゃん。入る部活はもう決めたの?
雅 圭太
雅 圭太
え、部活?
雅 和歌
雅 和歌
……もしかしてまだ決めていなかったの?
俺を見て呆れた様に溜息を吐いた和歌を見て、俺は数日前のことを思い出した。
雅 和歌
雅 和歌
『お兄ちゃん!見てみて!』
雅 圭太
雅 圭太
『ん、何?』
雅 和歌
雅 和歌
『今雲雀学園のパンフレット見ていたんだけど、面白そうな部活があったんだ!』
雅 圭太
雅 圭太
『部活?どんなの?』
雅 和歌
雅 和歌
『えーっとね、【革命部】って言う部活なの。』
雅 圭太
雅 圭太
『何だよ革命部って……』
雅 和歌
雅 和歌
『私、この中学入ったらこの部活やりたい!』
雅 圭太
雅 圭太
『……え?』
雅 和歌
雅 和歌
『ね?いいでしょ、お願い!』
雅 圭太
雅 圭太
『いやいや、いくら可愛い妹の頼みと言えど革命部なんて訳が分からないどんか輩がいるか分からないような部活に和歌を入れるなんて……』
雅 和歌
雅 和歌
『お兄ちゃん、お願い……』
そう言いながら俺の顔を上目遣いで必死に懇願するような可愛い顔で見つめて来た和歌。
和歌は無意識なんだろうと思うが、余りにも可愛すぎる!
雅 圭太
雅 圭太
『はあ……そんな可愛い顔で見つめられてお兄ちゃんが断れるわけないだろ』
雅 和歌
雅 和歌
『可愛い……?とりあえず、革命部には……』
雅 圭太
雅 圭太
『入っていいよ。』
雅 和歌
雅 和歌
『やったー!』
雅 和歌
雅 和歌
『早速革命部に入部する為に、受験勉強頑張ろー!』
雅 圭太
雅 圭太
『いやそれ目的かよ!』
雅 圭太
雅 圭太
確か和歌は革命部に入部するんだっけ?
雅 和歌
雅 和歌
当たり前じゃん!それだけの為に必死で受験勉強頑張ったんだから。
雅 和歌
雅 和歌
そういうお兄ちゃんは何かこの学園でやりたい事はないの?
雅 圭太
雅 圭太
俺?俺は……
急に問いかけられ、返事に困る。
そう言えば俺、何でこの学園受験しようと思ったんだっけ。
今思い返せば、俺がこの学園に入学したのはどんな輩が居るか分からない学園に和歌を1人で置いておかないからだった。
折角入れたこの学園。
何か自分のやりたい事の一つや二つは見つけておきたい。
でも、俺のやりたい事とは……。
そうこう考えているうちに、俺は今朝会った高等部の伊月先輩のことを思い出した。
俺たちが列からはみ出していた時も真っ先に心配してくれた。
新入生の落ち着きが中々治らなかった時も、先輩が一声出せばみんなが鎮まっていた。
入学式で校長先生の長話に耐えきれなくて倒れてしまった子がいた時も、一番最初に気付いて抱っこをして保健室まで颯爽と運んでいた。
みんなを指揮して、且つ生徒の心配を誰よりもし、みんなから愛され尊敬される生徒会長。
そうだ、俺がこの学園でやりたい事……目指したいものは!
雅 圭太
雅 圭太
俺は……生徒会長になりたい!

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