「え、あ、俺ですか?」
『もちろんあなたですが(笑)』
「昨日は会釈し合っただけなのに覚えてくださっていたんですか?」
『はい(照)私と同じように冬の桜を眺めてる人を初めてみたのでうれしくって』
「仕事だったんですか?」
『はい。普通のOLですから(笑)』
「仕事でお疲れでしょうからご飯とかどうですか?」
俺はあなたを見ていたんです。なんて恥ずかしいけどホントの事を言えないままご飯に誘っていた。
『すみません!そろそろ門限なんでまた今度!』
そう言うと彼女は走り去って行った。
【この恋も早く終わりそうだな。】
俺のヘタレさが出てどうせ次に会っても誘えない。
変なところで出る人見知りというかなんというか……
考えただけでも憂鬱だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!