あなたside
あなた「失礼しまーす」
櫻「わざわざ悪いな。あれ?1人か?」
あなた「うん。二宮くんには黒板消し任せてきた」
櫻「大丈夫か?資料、結構あるぞ?」
そう言って翔ちゃんが指差したのはクラス人数分の冊子の山
あなた「うわ~、普通にプリントだと思ってた…」
櫻「いや、俺の言い方も悪かった。どのみち1人じゃ無理だろ。一緒に上に行こう」
あなた「ううん、大丈夫。もう1回来るから。よいしょっと」
あたしは資料の半分以上を持ち上げたけど…
グラッ
あなた「うわっ!」
思ったより重くて崩れそうになったその時…
パシッ
?「だから、俺も行くって言おうとしたのに…。何でいつも無茶するかな」
あなた「二宮くん」
いつの間にか後ろから二宮くんが支えてくれていた
二「ああ言ってたわりには全然力ないじゃん」
あなた「ごめん」
二「貸して。後の残り頼むよ」
そう言って二宮くんはあたしが持ってた分を
あっさりと持ち上げて先に行ってしまった
あなた「あ、待ってよ!じゃあね、翔ちゃん!」
あたしも残りの分を持ち、二宮くんの後を追いかけた
二宮くんは既に階段を昇ろうとしてるところだった
あなた「二宮くん!」
二「ん?」
あなた「あの…迷惑かけてごめんね」
二「別にいいよ。てか、俺も当番だし。それに…」
あなた「?」
二「ごめんより、ありがとうの方が嬉しいよ」
その時、二宮くんが少し笑ったように見えた
あなた「……うん。ありがとう(ニコッ」
ニ「!早く行くよ」
あなた「だから、待ってってば!」
やっぱり、二宮くんは冷たいのか優しいのか
何でこんなに彼の事が気になるのか
分からない
けど、それでもいいや
これから少しずつ知っていけば
きっと分かる日が来るはずだから
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。