第18話
タラシと書いて純情と読む
文化祭前日
もう夕方
クラスメイトの多くは
準備を終えて午前中に下校したのに
あなたは衣装係として
1人教室に残り最後の仕上げに追われていた
沙和ちゃんは
すっかりお店の入り口となった
教室の前のドアから入ってきた
私はフリフリのメイド服を着た
健全に、スカートは膝丈のルール
私は沙和ちゃんの後ろをついて行った
沙和ちゃんは
そう言いながら
教室に作った控室のカーテンを開けた
私はカーテンの中をチラッと覗いた
沙和ちゃんに押されて
何かにぶつかった
沙和ちゃんは、ニコッと笑うと
カーテンを閉めた
黒須くんは隠すように
腕を顔の前に持っていった
黒須くん、すごい赤い……
全身が熱くなった
ど、どうしよう
こんなに照れたことない
教室の外から先生の声がした
私は咄嗟に
黒須くんの手を引っ張って隅っこに隠れて
静かに息を潜めた
しばらくして、教室の電気が消された
黒須くんが笑った
友美へ
黒須くんは
タラシです……。