ナツキの後ろから来たのは及川…。だとすると…
衝撃の発言に私は言葉を失う。
手に持っている赤いナイフと言い、返り血を浴びていると言い、及川は本気で言っている。
気付いたら私は拳で及川を一発殴っていた。
及川はフラつくこともなく、殴られた場所を見て私から視線を逸らす。
ナツキがそう言って、空中に現れた端末を触る。
そして、さらに奥の扉を開けると私達に入るように促した。
ふわふわと前を浮いて進むナツキ。
私の質問にも公表されることがないからか、全て返してくれた。
今なら…
ナツキが今まで1番頑丈そうな扉の前に立ち、私達に聞こえないくらいの声で何かを呟く。
すると、その頑丈そうな扉は大きな音を立ててゆっくりと開いた。ナツキが先を行き、私達はその後をついていく。
大画面のパソコンの前に座っていた男子が立ち上がり、こっちを向く。
その姿はナツキが15歳と言うわりにはとても落ち着きがあるから大人びて見えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。