第55話

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2019/08/03 10:09
床が下がり見えなくなると私はサクラに右目の眼球が無くなったことで中が腐らないようにするための治療をしてもらっていた。


隣のソファには呆れ返った弟の姿がある。
忍
あ〜!楽しかった〜!
廉
こっちは凄いヒヤヒヤしたよ…
忍
でも、生きてるじゃん。ちゃんと覚悟してたおかげでさ。
サクラ
サクラ
そうですよ〜。もぉ、刑執行者を倒した忍さんはかっこ良かったです〜
廉
いや、それにしても酷すぎ。ほんと頭おかしいんじゃないの?
忍
ば〜か。頭良いから生き残ってるの。悪かったらあそこで諦めて君のお姉ちゃんはとっくのとうに死んでるわ。
廉
全く…
サクラ
サクラ
はい!終わりましたよ〜
忍
ありがと〜!
サクラ
サクラ
いえいえ〜。眼帯の手配でもしときますね〜、そのままなのは見てる私達が痛いので〜
忍
ん、了解。
ナツキ
ナツキ
戻りました!
みんなを送り終わったナツキが戻って来て、結果を簡潔に報告してくれた。
忍
どうだった?妹ちゃんは?
ナツキ
ナツキ
も〜、ほんと良い子に育ってる!お姉ちゃん感激です!
忍
夏希さん、昔からずっと綾梨ちゃんを可愛がってたもんね。
ナツキ
ナツキ
当たり前です!綾梨はいつもサバサバして友達が出来なくて心配でしたから。忍さんはお目当ての人見れました?
忍
うん。忘れられてたけど。
ナツキ
ナツキ
それは災難ですね〜…
忍
ほんと、悲しいわ〜…
ナツキ
ナツキ
それにしても本当にあの時は助けていただいてありがとうございます。
忍
礼なんていいよ〜!だって、私と夏希さんは"友達"じゃん!
ナツキ
ナツキ
もちろん!これからもよろしくね、忍ちゃん。
久しぶりに聞いた夏希さんのタメ口が懐かしい。
そんなことを噛み締めながら私は次のための準備をすることにした。
忍
うん!じゃあ、夏希さんは廉とシステムの管理をよろしく。ミラはいつも通り警備隊長として会社の警備を。レイは一緒に次のプログラムを作成。
ナツキ
ナツキ
了解です!
ミラ
ミラ
はい。
サクラ
サクラ
私は何したらいいですか〜?
忍
あとで手伝ってもらうけど今は休憩でいいから、お餅食べたら?
サクラ
サクラ
そうします〜!
忍
じゃ、レイ。行こう。
レイ
レイ
うん。
私はレイを連れてみんながいる部屋から出る。
すると、部屋を出た瞬間レイが話しかけてきた。
レイ
レイ
忍。
忍
ん?
レイ
レイ
サクラとミラ。seriに自分の過去のこと話してたよ。
忍
そう言えば、言ってたね〜…
レイ
レイ
いいの?
忍
いいんじゃない?別に言うかはその人の自由だし?レイも言いたくなったら誰かに言ったらいいよ。
レイ
レイ
別に…ボクは言わなくていいや。知ったところで何もならないでしょ?
忍
まぁね。少し不思議に満ちてるって印象が強いけど実際はどうだか…
レイの過去は私と廉だけが知っている。
サクラとミラは知らないしナツキも知らない。
綾梨ちゃんはナツキが死んだはずの実の姉だったことに驚いてたけど…
あの人は私のことに驚くかな〜…
忍
次はレイに大活躍してもらおっか。今回は廉と調整してたからあんまり出番なかったもんね。
レイ
レイ
ほとんどサクラな気がする。
忍
まぁまぁ、これからゆっくりプログラムを作ろうよ。なんせ、1年もあるんだからさ…
私の部屋に入ると、そこには廉と比べ物にならないくらいのパソコンが置かれている。
さぁて、始めようか……
次はどんなChinonゲーム?
どうせなら、プレイヤーも面白くしないと…
私みたいなのを入れるのもあり?
ふふっ、考えるだけでニヤケちゃう。
人が死んで悲しい?
そんなのいつかは絶対になることでしょ?
一生生きていられる人間なんてこの世にいない。
別にスグ死ぬか寿命が延びるかの問題。


私に怒りを向けた綾梨ちゃんもいつか死ぬ。
このゲームを操った弟の廉もいつか死ぬ。
機械の夏希さんだっていつかは壊れて死ぬ。


みんな、いつかは死ぬんだよ。


そんなことを他人事のように言う私もね。


だったら、いつ死ぬか分からないこの時を。この一瞬を最高の物にしないともったいないよね?


Chinonゲームはただの遊戯。
でも、その遊戯が会ったからこそ出逢えたこともあるはずだ。


だから、面白くてたまらないんだよ。
生きるか死ぬかの極限で選択をして、大切な人と出逢って、命の大切さを知って、最期になってようやく重さを知って泣いて、時には笑って。


こんなのを止めるなんてつまらない。
そうなったら、私がやることはただ1つ。


それは ─────

























─── 私の遊戯を誰にも止めさせなければいい。
ただ…それだけだよ?

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