第51話

知らぬが仏
255
2019/07/27 07:02
………可能なら嘘なんだと信じたい。
フォロワーの人が送ってくれた写真。
写真だけで名前がフルネームで分かってしまう。
写真には長い髪を上で留めて、首にヘッドフォンをかけ、隣に映る小さな女の子を抱き上げて満面の笑顔の10代前半程の女子。
10代前半?………いや、これは13歳だ。
千川 綾梨
千川 綾梨
……。
見間違えるはずもない、この小さいのは私。
そして、この隣は ───
「名前は千川夏希さん、今は20歳です。」
─── 私の死んだはずの実の姉だ。
千川 綾梨
千川 綾梨
そういうことか…
『まぁ、死んでるんですけどね!』
さっき唯奈さんに言ってた言葉。
本当にその通りだった…
答えようと顔を上げた時、私は息を呑む。
この部屋にいるのはナツキ。


そして、私と蘭さんと及川の3人。死ぬのは1人。
残ってるのは今まで1番長くいた蘭さんと及川。
2人を残して私だけが行っていいのかな…
神田 蘭
神田 蘭
綾梨ちゃん、分かった?
千川 綾梨
千川 綾梨
まぁ、はい…。
及川 澪月
及川 澪月
何で行かないの〜?
千川 綾梨
千川 綾梨
私が行ったら、蘭さん達が…
神田 蘭
神田 蘭
私たちのこと気にしてたら綾梨ちゃんが死ぬよ?
蘭さんにハッキリと言われて、私は黙り込む。
そこに及川も「そうだよ」と乗った。
及川 澪月
及川 澪月
分かったら行けばいいじゃん〜。そんなに死にたいんだったら僕が殺してあげよっか?
千川 綾梨
千川 綾梨
いや、それはいや。
及川 澪月
及川 澪月
なら、行きなよ〜。
神田 蘭
神田 蘭
私達なら気にしないでいいからさ!
ナツキさん!綾梨ちゃんが答えたいそうです!
ナツキ
ナツキ
おぉ!どーぞどーぞ!
千川 綾梨
千川 綾梨
ちょっと!?
神田 蘭
神田 蘭
行け!
及川 澪月
及川 澪月
頑張って〜
蘭さんと及川に背中をされ、ナツキの前へ。
ナツキさんはニコニコとして「答えは?」と私に笑いかけてきた。
千川 綾梨
千川 綾梨
………千川夏希…私の姉さん…。
ナツキ
ナツキ
正解です!ね?面と向かって話したことあるでしょう?
千川 綾梨
千川 綾梨
あるよ…何回も何百回も何千回も…
ナツキ
ナツキ
それでは先へどうぞ!
ナツキが扉を開ける。
奥に進む直前で私は立ち止まり振り返る。
神田 蘭
神田 蘭
おめでと!
及川 澪月
及川 澪月
おめでと〜
2人はただ手を振るだけ。


……進もう、でも最後になるかもだから…
千川 綾梨
千川 綾梨
……ありがとう…。
私はそう言い残して扉の奥へと進んだのだった…。




















歩いてついたのは明るめの部屋。
そこでは、わーわーとみんなが騒いでいた。
御木 真琴
御木 真琴
待って!そういうの反則じゃない!?
忍
あはははっ!諦めなよ、真琴君〜!
椎名 琉唯
椎名 琉唯
負け惜しみか?
稲垣 鈴架
稲垣 鈴架
ババ抜きなんて、相手の表情を見ればババがどこにあるなんて一瞬じゃないですか。
瀬戸 冬稀
瀬戸 冬稀
御木、お前ババ抜き如きでそこまで…
広瀬 唯奈
広瀬 唯奈
ババ抜きは運ですわ…神に愛される者こそ勝利出来るのです…。
千川 綾梨
千川 綾梨
何やってんの…
部屋のソファでどんちゃん騒ぎしている通過者達はまさかの机を囲んでババ抜きをしていた。その中には先に通過した真琴と忍ちゃんもいる。


真琴が鈴架ちゃんに負けてババなのが悔しいのか拗ねきっていた。
椎名 琉唯
椎名 琉唯
おー、seriが来たってことはあとは1人で終わんのか。
稲垣 鈴架
稲垣 鈴架
神田さんと及川君ですよね?どうなるんでしょう…
御木 真琴
御木 真琴
もう1回戦!次は負けないから!
忍
もう何回も聞いてるよ!てか、私とババ抜き始めてから全戦全敗じゃん、もう諦めた方がいいって。
御木 真琴
御木 真琴
次こそ!!!
稲垣 鈴架
稲垣 鈴架
私が来てからも既に5回は…
瀬戸 冬稀
瀬戸 冬稀
とっくに三度目の正直じゃねぇよ。
椎名 琉唯
椎名 琉唯
諦めるんだな。
ナツキ
ナツキ
置いといたトランプで大盛り上がりのようですね!しかし、もう時間です!脱落者が決まったので!
ナツキがそう言って、部屋に入ってくる。
そして、そのナツキの後ろからは1つの足音しか聞こえなかった…。

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