第2話

1話 雨の中
103
2021/07/21 21:15
一人暮らしは大変だァ。

片付けの合間に書いてるので誤字とか多いかもですがなるべく投稿できるように頑張りますので!!!


それじゃ本編へどうぞ






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ザァァァァァ…





土砂降りの雨






夜遅くまで降り続けた。







その土砂降りの中、真っ暗な空に背を向けて地に伏している者がいた。







ゆっくりと起き上がり、こちらを振り返るあいつ。







俺はいつも、あいつの顔を見れずに目が覚める。







そして今日も、顔を見れずに起きてしまった。










???
……くそッ、…





───────────────────

















俺は結雨。魔王を15体倒した最強勇者として世界に知られている。



今はとある村の宿で休んでいるところだ。

羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
依頼?
村長
ああ、頼めるか?
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
まぁ、いいよ。それで?その依頼って?
村長
夜に現れる"化け狐"の話、聞いたことないか?
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
うーん、聞いたことないな
村長
その化け狐がこの近くの森で出たらしいんだ。このことが知れ渡ってから、誰も眠れねぇんだ。
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
なるほど、わかった。行ってくる。

村長は俺に前金を手渡し、宿部屋から出ていった。







夕暮れ時、俺は森に向かった。




村長
お気をつけて…
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
ああ、ありがとう


村長は怯えながらも見送ってくれた。



何としても退治しなければ。




宮兎様(ミヤウサギサマ)
おやおや、もう仕事かい
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
はぁ、宮兎様…急に現れるのはやめてください。
宮兎様(ミヤウサギサマ)
なんじゃ、わらわは遊んでやってるのじゃぞ

一見無害に見えるであろうこの人兎。



宮古 雨兎(みやこ うと)様。



俺の手伝いをしてくれている。

宮兎様(ミヤウサギサマ)
さて、今日の依頼はなんなのじゃ?
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
化け狐だってさ。
宮兎様(ミヤウサギサマ)
なるほどのぉ…
ここ最近土砂降りが続いた為、地面はぬかるんでいた。



植物も枯れている。



羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
酷いもんだな。
宮兎様(ミヤウサギサマ)
そうじゃの。ところでその化け狐とやらはこの辺に現れるのかの?
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
確かそうだったはずです。
宮兎様(ミヤウサギサマ)
ふむ、気配なんて全然ないんじゃが
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
うーん、


ぽつ、ぽつと…雨の雫が土に落ち、染み込んでいった。



雨か、…こりゃ土砂降りになりそうだな。
宮兎様(ミヤウサギサマ)
今日は帰るとするかの
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
いや、お待ちください。
宮兎様(ミヤウサギサマ)
なんじゃまったく。
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
あれを…


チリン…


と雨の音にも負けない鈴の音が聞こえた。



鈴の音がした方を見ると、ひとつの人影があった。

月夜 神花(ツキヤ カゲ)
………、…__…─…、__
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
…ん、?
宮兎様(ミヤウサギサマ)
あれが化け狐か!わらわが退治してくれよう!
と、楽しそうに胸の高鳴りを行動に出す宮兎様。



俺は宮兎様の前に出て、攻撃しようとするのを止めた。



少しずつフラフラと近づいてくる人影に、俺は殺意を向けてみた。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
……、…(ビクッ
宮兎様(ミヤウサギサマ)
…反応したな、
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
…、…ゃ………、
宮兎様(ミヤウサギサマ)
何か言っておるぞ
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
ああ、…
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
……ごめんなさい…早く、村に戻って……
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
あ、待て!
化け狐は雨風と共に消え去ってしまった。



一体なんだったのだろうか。

羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
にしてもあの子…妙に汚れてたな…
宮兎様(ミヤウサギサマ)
そうじゃの。しかし退治することに変わりはないぞ。
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
分かっています宮兎様。今日は帰りましょう。



宮兎様は疲れたと言って兎の姿に戻ってしまわれた。



俺は夜になると人狼となるが、宮兎様のように、自由自在に人間の姿になれる。



宮兎様の修行のおかげだ。
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
…なんだ、村の方が明るい…


村の入口付近にある1番近い森から見えた村は、焼け野原となっていた。



村人達の叫び声




木や草木が焼ける音




金属と金属がぶつかり合う音



その全ての音が俺の耳に入り込んでは来なかった。



ただ焼け野原となった村を眺め、立ち尽くしているだけ。



何も出来ない。
宮兎様(ミヤウサギサマ)
な、なんじゃ…これは…
???
お前が宮兎か。そしてそっちが、勇者だな
宮兎様(ミヤウサギサマ)
お主、何者じゃ?
???
さぁな。気になるなら、戦って調べてみるか?
宮兎様(ミヤウサギサマ)
…いや、今回はやめておこう
???
賢明な判断だ。ここの村人は1度我が城で保護している。返してもらいたければ着いてくるといい。ゾム、帰るぞ。
ゾム
グルルルルルルッッッ……ガウッ!!!!
宮兎様(ミヤウサギサマ)
…自我のない人狼か、
ゾム
グルルルッ…
???
ゾム?、帰るぞ
ゾム
ガァウッッ!!!!
人喰い狼は、宮兎様の方を見たと思ったら、急に襲いだした。



狼にとって兎は獲物なのだ
ゾム
…グルッ……ガウッ…、ガウガウッ!!!!ガウッ!!
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
離れてください!宮兎様!
俺が宮兎様の前に出ると、俺の目の前にも、1人人が割って入った。
あなた
荒れ狂う人喰い狼、私が相手になる
ゾム
グルルルルルルッッ……
急に現れた彼女は、人喰い狼に恐れもせず、立ち向かった。



そして、彼女と狼が睨み合い続け、数分が経過した。



途端に狼は頭を抱えだし、唸っていた。
ゾム
……ウガァァ!!ガゥゥゥゥゥ!!!!………、…あ、あれ…
???
!!ゾム?
ゾム
グルさ、…なんで……
さっきまで自我のなかった人喰い狼は、血に飢えた目が人間の目に戻り、自我を取り戻した。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
ゾムさん…、?
ゾム
…神花、……?…ど、どうしたんやその傷ッ!
さっきの化け狐は、1匹の小さな狼を口にくわえた状態で、ボロボロの姿だった。
あなた
…神花、?
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
……、?あなたは?
あなた
ッ〜!!…いや、気のせいだったみたい
ゾム
大丈夫なんか、?
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
は、はい…
ゾム
よかった……、!
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
化け狐、こっちに来い。手当するから。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
わ、私は別に…
???
いや、手当てはしてもらった方がいいだろう。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
……はい、…
あなた
……私が治療するわ。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
ぁ、…ありがとう…
あなた
こっち。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
うん、…
あなた
他のみんなも、こっち来て。
あなた side

確か、…グルッペンだったかな。



アンタの城、少し借りるよ
グルッぺン
…好きにしろ
あなた
…ふふッ、それじゃあ…

パンッ!


と手を叩くと、あの場所にいた全員が、真っ白な外壁に囲まれた城の前まで来ていた。



いわゆる瞬間移動みたいなものだ。
グルッぺン
噂に聞いた通りだな。
鎌を持った赤髪の旅人、あなた。
あなた
………口を縫われたい?
グルッぺン
それは勘弁だ。トン氏
トントン
なんや
あなた
………ッ、!

グルッペンの隣に並ぶ赤いマフラーのトン氏という彼。



彼の背中には、月に照らされて白銀に輝く羽が生えていた。



あなた
…その、羽……


なぜか見覚えのあるその羽は、風に揺られながら光り輝いていた。


いや、今はどうでもいい。



早く手当をしなければ。



私は神花を連れて城の中に入っていった。
あなた
…神花は、ゾム……だっけ、アイツのこと知ってるの?


神花の手を引き、医務室に向かいながら聞いてみる。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
え、あ…はい…ゾムさんは、えっと……
あなた
……(…婚約者か、恋人かってところかな)……お幸せに〜
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
…あ、ありがとうございます…///
気品に溢れた色白の肌を、少し赤くさせ照れたその顔は、とても綺麗だった。



そのとき、私の中で何かがドクンと脈打った。



ドクンっていったなら心臓だな((
あなた
……傷、見せてくれる?

とりあえず誤魔化した。



自分に対して誤魔化したのか、神花に対して誤魔化したのかは、分からない。



きっと、一生分からないだろう。
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
は、はい…
腕に優しく触れた瞬間、彼女がとても冷たいことに気づいた。



あやかしである彼女には当然なのだろうか、雨に濡れたからだろうか?



しかし、冷たいと共に彼女の傷は予想以上に酷いものだった。



深い引っかき傷に、痣、火傷など。
あなた
…少し痛いけど、じっとしてて
月夜 神花(ツキヤ カゲ)
はい…
あなた
すぐ終わるわ
神花の腕の傷に、そっと手をおくと、水で傷を覆った。



水は流れることなく1つの塊となって神花の傷を包み込んでいる。



しばらくして水を消すと傷は無くなっていた。



しかし骨折や痣はどうにもならないため、包帯やガーゼで手当する。



手当が終わると、神花は私にありがとうと行って、ゾムのところへと走っていった。
グルッぺン
力はあるのだな
どこから見ていたのか、そう呟きながら柱の裏から出てくる、カラスのように黒い羽を生やした男、グルッペン・フューラー。



彼はこの国を治める総統だろう。


確かに、私の創り出す水はなんでも出来る。



回復、飲料水、攻撃なども容易い。



しかしデメリットは必ずある。



誰しもが完璧な訳ではないのだ。
あなた
…ふふ、また会おう。グルッペン・フューラー

彼はどうせ私を仲間にしたかったのだろう。



しかし、彼らは私を完璧だと言う。



私は完璧だと言われるのは嫌いだ。



はたから見れば完璧なのかもしれないが、自分自身のことは、自身がよく分かっていないものだ。
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
なんだ、もう行くのか。あなた
あなた
ええ、お世話になったわ。
羽麗 結雨(ウレイ ユウ)
また遊びに来いよ
あなた
…考えておくわ








続く

プリ小説オーディオドラマ