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晴歌side
星を見ると、思い出してしまう。
それは、何年経っても変わることはなかった。
___いつの間にか、私は社会人になっていた。
大学を卒業し、教師という職に就いてから早くも1年が経った。
大学進学をきっかけに家を出てから数年。
私は、また、自身の実家のある街へ戻って来ていた。
「ああ、晴歌。おかえりなさい。
久しぶりね、元気にしてた?」
「今日は、帰るの?」
その日は、数年に1度の流星群が降る日で、テレビではその話題でもちきりだった。
奏多と初めて会ったあの日から数年越しの流星群の日。
もう一度、行ってみようか。
あの場所へ。
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奏多side
雨の降る街並みを窓越しに見ると思い出してしまう。
それは、何年経とうが変わることはなかった。
___親の決めたレールの上をひたすら追うこと、数年。
気が付けば僕は就きたくもない職に就き、実家の近くに帰って来ていた。
「ああ、帰ってきたのね。
おかえりなさい。」
母親と話していると、リビングからテレビの音が聞こえてきた。
今夜は、数年に1度の流星群の日らしい。
偶然か必然か、晴歌と初めて会ったあの日以来の流星群だった。
最後に1度だけ、行ってみようか。
あの場所へ。
最後の、清算をする為に。
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晴歌side
夜が、来た。
窓の外を見ると、目で追えないほどの星々が空を泳いでいた。
涙が、目の端に滲む。
あぁ。
唐突に私は理解した。
私は、もうずっと、
奏多に恋をしていたんだ___。
忘れられない。
忘れられる訳が無い。
だって、私と彼は……
出会う運命だったから。
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奏多side
夜が、来た。
星が次々と降ってくる。
それはまるで、いつかの流星群の日に降った雨のようで、僕は言葉が出なかった。
何故なんだろう。
ここ数年のことを思い出そうとしても何も思い出せないのに、晴歌と出会ったあの日の事は今でも鮮明に思い出すことができる。
まるで、映画のフィルムを見ているかのように。
涙が、後から後から流れ出す。
あぁ。
唐突に僕は理解した。
僕は、もうずっと、
晴歌に恋をしていたんだ___。
何年経とうが忘れられない。
忘れられる訳が無い。
だって僕と彼女は
出会う運命だったのだから。
もうすぐクライマックス?
By作者
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!