第3話

31
2021/01/05 08:07
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
ただいま。

今日の体育は私だけ教室待機だし。

室内の体育しかやらせてもらえないってどういうこと?

先生達も罪悪感感じているのか、体育はいつも5だし。
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
もう一度、行ってみようかな。

あの場所に。

会った時と同じ時間、夜に行ってみよう。


ーーー

そうして迎えた深夜。
親にバレないよう靴を履いた私は、傘を持って外に出た。

案の定雨が降ってくる。

七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
急がないと!


ーーー


星宮  奏多
星宮 奏多
もう一度、行ってみようか。
あの場所へ。

思い立ち僕は母の寝静まった深夜に家を抜け出した。



ーーー

七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
はぁ。
また土砂降り。

せっかく来たのだから少し待ってみようと雨空を見上げていた時、一筋の光が空に降った。

あの子だ。私はそう確信していた。

七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
ねぇ…

振り向いた彼は私を見て驚いた顔をした。

声をかけられることを前提にしていなかったような顔。

七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
貴方の、名前は?
星宮  奏多
星宮 奏多
星宮…奏多。
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
やっと会えた…。
あ、私は七瀬晴歌。
16歳だよ。
星宮  奏多
星宮 奏多
同い年。
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
ねぇ、なんで星を降らすことができるの?
星宮  奏多
星宮 奏多
さぁね。
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
教えて。お願い。
星宮  奏多
星宮 奏多
僕が降らせているってなんで思うわけ?
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
うーん、根拠は無いんだけど、勘かな。
星宮  奏多
星宮 奏多
当たりだよ。
でも、なんでかは教えない。
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
それでもいいの。
また、会えないかな?
星宮  奏多
星宮 奏多
それは夜?
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
うん、そうよ。
夜、それも深夜。
星宮  奏多
星宮 奏多
そっちの方がこっちも都合いいし。
いいよ。
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
わぁ、ありがとう!
えっと、星宮さん?
星宮  奏多
星宮 奏多
奏多でいい。
みんなそう呼ぶ。
七瀬  晴歌
七瀬 晴歌
じゃあ私も晴歌って呼んで。
よろしく。奏多。
星宮  奏多
星宮 奏多
うん、よろしく。晴歌。

きっと奏多は、神様からの贈り物。

そんな奏多が心に深い傷を負っていることなんて、その時の私は微塵も感じていなかった。

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