もう生きてる意味が分からなくなってきた。
いつもは姉貴のために
朝飯作って
学校行って
生きてたけど
姉貴に殺されかけて
姉貴とは生き別れ。
縄を首にかけてみた。
死ねない。
皆んなに迷惑かけたくない。
姉貴を悲しませたくない。
そんな毎日が続いた。
ある日ポストの中に一枚の紙が入っていた。
ゾヌへ
今日のPM9:30に裏山に来てください
紙にはそう書いていた。
宛名が書いてなかった。
PM9:00
俺は裏山に来た。
そこには誰かがいた。
そう。
そこにいたのは姉貴だった。
俺は考えるより先に言葉が出た。
正直迷った。
姉貴を殺そうか。
いや、死ぬのは苦しいかな…?
……
ただ、
俺は決心した。
姉貴はそっと俺の首に手を添えた。
姉貴はあの時の様に首を絞めた。
何故だろう…
全く恐怖を感じない……
姉貴が…何か…言ってる……
もう…逝くのか………
姉貴は力を緩めた。
姉貴が何か言おうとしたその時
バァン
銃声が鳴り響いた。
と同時に姉貴が倒れた。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
モブの声なんて耳に入らなかった。
姉貴の手がそっと頬に触れる。
姉貴の手は重力と共に落ちた。
返事はない。
どれだけ呼んでも。
俺は泣いた。
初めて心の底から泣いた。
俺は謝り続けた。
モブに声をかけられるまで………
あれからどれだけ経っただろう。
俺は放心状態だった。
「ごめん」
その言葉しか今は思い浮かばない。
ふと、姉貴の言葉を思い出した。
『お前は…笑顔で…いてくれ…!』
……笑顔…
俺は鏡の前に立って笑顔を作ってみた。
なぜか気持ちが軽くなった様な気がした。
そうか…
笑顔でいたら何もかも楽になる。
悲しいことも、
苦しいことも……
俺は自分にそう言い聞かせた。
今日は久しぶりに学校に行った。
笑顔で。
ハイテンションで。
何だろう……
自分が自分じゃないような気がした。
それから俺は作り笑顔を貫き通した。
ふと鏡を見た。
…あれ
“本当の笑顔”って何だっけ。
真顔が出来ない。
どうしても口角が吊り上がってしまう。
昔、姉貴と遊んだ時どんな顔だったっけ?
思い出せない…
涙が出て来そうになった。
笑って誤魔化した。
そう自分に言い聞かせた。
今も俺は明るく暮らしてる。
姉貴が居なくたって生きて行けるんだって証明したんだ。
アメとかスノーとか色んな人から
「明るいね」
って言われる。
ただ、
そう言われるたびに昔の自分の顔を忘れていってしまう。
…もう何もかも覚えてないかもしれない。
それでも俺は明るく暮らしてる。
笑顔で。
もう辞めれないんだ。
急に暗くなったら心配かけるしw
……自分の素直な気持ちを抑えて、
今日も明るく生きています。
END.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!