第20話

ゾヌの過去パート3【完結編】
76
2023/03/18 05:24
もう生きてる意味が分からなくなってきた。
いつもは姉貴のために
朝飯作って
学校行って
生きてたけど
姉貴に殺されかけて
姉貴とは生き別れ。
ゾヌ
ゾヌ
はぁ…
ゾヌ
ゾヌ
死にたい…
ゾヌ
ゾヌ
………
ゾヌ
ゾヌ
試して…みるか。
縄を首にかけてみた。
ゾヌ
ゾヌ
………
ゾヌ
ゾヌ
やっぱり無理。
死ねない。
皆んなに迷惑かけたくない。
姉貴を悲しませたくない。
ゾヌ
ゾヌ
はぁ…
ゾヌ
ゾヌ
辛い……
そんな毎日が続いた。
ある日ポストの中に一枚の紙が入っていた。
ゾヌ
ゾヌ
何だこれ。
ゾヌへ
今日のPM9:30に裏山に来てください
紙にはそう書いていた。
ゾヌ
ゾヌ
…誰からだろ。
宛名が書いてなかった。
ゾヌ
ゾヌ
とりあえず行ってみるか……
PM9:00
俺は裏山に来た。
そこには誰かがいた。
???
…久しぶり。
ゾヌ
ゾヌ
?!
ゾヌ
ゾヌ
姉貴?!
そう。
そこにいたのは姉貴だった。
ミナ
ミナ
久しぶり。
ミナ
ミナ
実は…謝らなければならないことがある。
ゾヌ
ゾヌ
……何?
ミナ
ミナ
あの時…感情に任せてお前を殺そうとした…
ミナ
ミナ
それが今では許せない。
ミナ
ミナ
だから言わせてほしい。
ミナ
ミナ
…ごめんなさい。
ゾヌ
ゾヌ
いいよ。許すよ。
俺は考えるより先に言葉が出た。
ミナ
ミナ
えっ…?許してくれるの…?
ゾヌ
ゾヌ
…うん。
ミナ
ミナ
……じゃあ頼みがあるの。
ゾヌ
ゾヌ
何?
ミナ
ミナ
……私を殺して。
ゾヌ
ゾヌ
………
正直迷った。
姉貴を殺そうか。
いや、死ぬのは苦しいかな…?
……
ただ、
俺は決心した。
ゾヌ
ゾヌ
じゃあ一緒に死のう?
ミナ
ミナ
……え?
ゾヌ
ゾヌ
一緒に死んだ方が楽だよ。
ミナ
ミナ
………
ゾヌ
ゾヌ
さぁ…首を絞めて…?
ゾヌ
ゾヌ
あの時のように……
ミナ
ミナ
………分かった。
姉貴はそっと俺の首に手を添えた。
ミナ
ミナ
………ごめん。
姉貴はあの時の様に首を絞めた。
何故だろう…
全く恐怖を感じない……
ゾヌ
ゾヌ
(あぁ…)
ゾヌ
ゾヌ
(俺の心は…壊れたんだな……)
ミナ
ミナ
……また逝くからね…
姉貴が…何か…言ってる……
もう…逝くのか………
ミナ
ミナ
……やっぱり無理。
姉貴は力を緩めた。
ゾヌ
ゾヌ
………なんで…?
ミナ
ミナ
…私には………
姉貴が何か言おうとしたその時
モブ
モブ
あ!また化け物が子供を殺そうとしている!!
モブ
モブ
今すぐ退治しろ!
バァン
銃声が鳴り響いた。
と同時に姉貴が倒れた。
ゾヌ
ゾヌ
姉……貴?
一瞬何が起こったのか分からなかった。
ゾヌ
ゾヌ
あっ…姉貴!!おい!!姉貴!!
ミナ
ミナ
クッ…
モブ
モブ
おい!子供!大丈夫か?!
モブの声なんて耳に入らなかった。
ゾヌ
ゾヌ
姉貴…!!
ミナ
ミナ
……私も…ここまで…みたいだな…
ゾヌ
ゾヌ
姉貴…!まだ生きれる!まだ…!!
ミナ
ミナ
もう…無理だ…な……
ミナ
ミナ
……最後に…言わせて…ほしい……
姉貴の手がそっと頬に触れる。
ゾヌ
ゾヌ
……!!
ミナ
ミナ
お前は…笑顔で…いてくれ…!
ミナ
ミナ
よろしく……な………
姉貴の手は重力と共に落ちた。
ゾヌ
ゾヌ
おっ…おい!!姉貴!!姉貴!!!
返事はない。
ゾヌ
ゾヌ
姉貴!!姉貴…!!!
どれだけ呼んでも。
ゾヌ
ゾヌ
うっ…うぅっ…!!
ゾヌ
ゾヌ
うわぁぁぁ!!!
俺は泣いた。
初めて心の底から泣いた。
ゾヌ
ゾヌ
ごめんっ…!!!ごめんなさいっ……!!!
俺は謝り続けた。
モブに声をかけられるまで………
あれからどれだけ経っただろう。
俺は放心状態だった。
ゾヌ
ゾヌ
………
「ごめん」
その言葉しか今は思い浮かばない。




ふと、姉貴の言葉を思い出した。
『お前は…笑顔で…いてくれ…!』
……笑顔…
俺は鏡の前に立って笑顔を作ってみた。
ゾヌ
ゾヌ
………
なぜか気持ちが軽くなった様な気がした。
そうか…
笑顔でいたら何もかも楽になる。
悲しいことも、
苦しいことも……
ゾヌ
ゾヌ
笑顔でいれば…きっと報われる……
ゾヌ
ゾヌ
そうだ…俺はもう大丈夫。
俺は自分にそう言い聞かせた。
今日は久しぶりに学校に行った。
ゾヌ
ゾヌ
おはよー!!w
笑顔で。
ハイテンションで。
モブ
モブ
ゾヌじゃん!久しぶり!!
モブ2
体調はどう?大丈夫?
ゾヌ
ゾヌ
うん!!wぜーんぜん平気!!
何だろう……
自分が自分じゃないような気がした。
ゾヌ
ゾヌ
(これでいい。)
ゾヌ
ゾヌ
(姉貴の願いも叶えた。)
ゾヌ
ゾヌ
(今はこれが自分なんだ…)
それから俺は作り笑顔を貫き通した。
ふと鏡を見た。
…あれ
“本当の笑顔”って何だっけ。
ゾヌ
ゾヌ
…………
真顔が出来ない。
どうしても口角が吊り上がってしまう。
ゾヌ
ゾヌ
………
昔、姉貴と遊んだ時どんな顔だったっけ?
思い出せない…
ゾヌ
ゾヌ
……もういいや。
ゾヌ
ゾヌ
忘れたものは仕方ないしね…
涙が出て来そうになった。
笑って誤魔化した。
ゾヌ
ゾヌ
俺は明るく生きる!
ゾヌ
ゾヌ
もう後戻りはしない!!
そう自分に言い聞かせた。









今も俺は明るく暮らしてる。
姉貴が居なくたって生きて行けるんだって証明したんだ。
アメとかスノーとか色んな人から
「明るいね」
って言われる。
ただ、
そう言われるたびに昔の自分の顔を忘れていってしまう。
…もう何もかも覚えてないかもしれない。
それでも俺は明るく暮らしてる。
笑顔で。
もう辞めれないんだ。
急に暗くなったら心配かけるしw
……自分の素直な気持ちを抑えて、
今日も明るく生きています。
END.

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