どんなのがいいだろ…
気分を紛らわすために、
浴衣を探していた。
あ、これ可愛い…
……て高っ!!
可愛いと思うものが意外に高かった。
浴衣って高いなー…
いつの間にかあたしの後ろにいた。
あ、この笑顔久しぶりに見た…
久しぶりの空間で、
少し泣きそうになった。
そう言ってあたしの頭を撫でた。
嬉しくて、泣きそうで、
必死で我慢する。
あたしの耳元で囁く。
泣きそうだったのが止まり、
今度は久しぶりに鼓動が早くなる。
かぷっ
真っ赤に染った耳を噛まれる。
そう言って強引にあたしの唇を奪った。
いつもはあまりしない、
乱暴に舌を絡めてくる。
口調は乱暴だけど、
優しい声で、
また乱暴にキスをする。
腰…抜けそう……
そう言ったトミーの顔は赤くなってた。
ぎゅっ
不意に抱きしめられる。
またあたしの好きな笑顔だ。
なんか、さっきまで限界だったのに、
すっごく満たされた。
そう言ってトミーは部屋を出た。
こうやってあたしが限界の時に、
タイミング良く構いに来てくれる。
トミーは?
平気なのかな…
なんて余計なことを考えていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!