あなたside
私は同い年の北信介が好きだ。
彼は男子バレー部の主将をしている。
優しくて、しっかりしてて、頼りがいがあって。
とても、素敵な人なんだ。
信介side
俺は同い年のあなたの名字あなたが好きや。
彼女は男子バレー部のマネをしている。
よく笑って、気を使って、手伝ってくれて。
ほんまにええ人なんや。
ある日、侑らがあなたの話をしてるのを見かけた。
盗み聞きがあかんのはわかっとるけど、気になって仕方がなかった。
そう言って笑う彼女の姿ははすぐに侑らに囲まれて見えんくなった。
そう言って彼女はスマホを開く。
本来なら部活の休憩時間が終わる時間や。
けど、彼女の故郷を知りたいという欲望には勝てんかった。
そんなことを話していると少し年期を感じさせる建物の写真を見せられた。
そう語る彼女はとても楽しそうで。
少し、寂しそうだった。
そう言って見せてきたのは動画だった。
楽しそうに笑う彼女と彼女を楽しそうに笑わせているスガという人。
その言葉に衝撃を受けた俺は、その次の言葉を聞かないようにした。
せやから、彼女がなにを言っていたのかわからんかった。
渚side
次の日、北を見かけた。
驚かそうと思って北のところに向かうと女の子と向かい合っていた。
その返事を聞くのが怖かった。
だから私はその場から走り去った。
その日から距離を感じるようになった。
スポドリ渡すときも、今まではアドバイスとか聞いてきたのに、今はおおきにというだけになっていた。
きっとあの人と付き合ったんだ。
じゃあこの気持ちには蓋をしよう。
こういう時、いつも隣にはスガがいた。
泣きたい時、いつも隣で泣かせてくれた。
そうだ。今度の休日、スガに会いに行こう。
それでこの気持ちとはおさらばだ。
ほら。きっと彼は私に興味がない。
信介side
きっと、あなたには彼氏がおるんや。
せやから、下手に話しかけたらあかん。
でも、この気持ちは伝えておこう。
放課後、俺はあなたを呼び出した。
それを聞いたあなたは泣き出した。
泣き出すほど嫌やったってことやろか?
もしそうなら悪いことしたな。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。