〜番外編・星涙病〜
星涙病…片思いすると涙が星に変わる。
涙が落ちたら綺麗な音が鳴る。
星の涙は、眼球を傷つける為失明する。
治す方法)片思いした人と両思いになる。
僕は、前世の記憶を持って生まれてきた。
…本編で出てくるからあんまり詳しくは言えないけど。
ざっくり言ったら、今も昔も姿が変わろうと恋が好き。
それだけ。
だったのに。
僕の大切な五感を奪う、病気にかかってしまった。
それは、『星涙病』。
涙が星に変化して、涙が眼球を傷つけ失明するっていう病気。
治す方法は、恋と両思いになる事。
そんなの、無理ゲー。
だって、恋は今アイツに恋をしているのだから。
認めたくない。
けど、日に日に綺麗で可愛くなっていく恋を見てたら
認めざる終えなかった。
だから、僕の病気は治る事はない。
悲しいドラマだよ。ほんと。
前世から僕がずっと恋を好きでいたのに。
僕の方が恋が好きで、恋のことをよく知っていて
恋のことを幸せにできる。
なのに、恋はアイツが好きなんだ。
数年後、恋はアイツと結婚式を挙げた。
恋は、とても幸せそうに笑って、とても綺麗だった。
心が苦しかった。
好きな人が、目の前で違う男と手を組みドレスを着て
幸せそうに笑っている姿はとても、とても苦しかった。
苦しい気持ちもあったけど、
やっぱり恋が決めた道だから僕はなにも言わない。
いや、言えない。
いつかその笑顔を見られなくなるって思うと悲しい。
僕は、その日沢山の音を奏でながら寝た。
一生分の涙を流したと思う。
だから、次目を開けた時にはなにも見えないだろう。
最後に見られたのが恋の笑顔でよかった。
やっぱり、なにも見えなかった。
朝起きて、世界が真っ白になっていた。
いつまでも布団に寝転がってるわけにもいかないので
感覚だけで動く。
でも、ダメだった。
階段を踏み外した。
階段を通りかかったカラ松兄さんが受け止めてくれたから怪我はしなかったけど、この病気のことを知られることになった。
全てを話したあと、みんなが泣いてた。
前世のことは省いたけど。
みんな、『よく結婚式に出たよ、立派だ』って
言ってくれた。
そこで、『立派な兄だ』って言わなかったのは兄さんたちの
気遣いなんだろう。
何かを感じた恋が家に帰ってきた。
僕の目のことを兄から無理やり聞き出してた。
恋が、僕のところに来て
『凛、ごめん。凛の目は私のせい。本当にごめんなさい』
って、泣きながら謝ってきたけど、僕は
『恋のせいじゃないよ。僕がダメなんだ。
実の妹に恋をする僕が悪いんだよ。気にしないで。』
って、言った。
本当の自分を押し殺し、恋のせいじゃないよって伝えた。
恋は、1週間ずっと僕のそばにいてくれた。
暖かかった。
心が安まるような暖かさに出会った。
とても、いい1週間。
あの、時間がずっと続けばいいのに。
恋好きだよ。
ありがとう、ごめん。
そして、僕は空に飛びだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!