ガタタン
目の前に光景に目を疑い立ち上がってしまった。
「!…どうした?」
倉持先生が驚いた顔してこちらを見ていた。
そしてみんなもうわっははと笑った。
「…大丈夫?」
するはずのないあの人の声。
聞こえるはずがないのに、ないのに
「蒼太くん…?」
私の瞳から涙が幾度もなく流れた。
頭で考えるよりも先にただただ嬉しかった。
また、会えた。
だが、ここは教室でみんなが授業していたことに気づき、顔を林檎のように赤らめた。
涙をふき、
「すいません、」
私は席につき、考えた。
「……」
何故私はここに居るのか、
何故死んだはずの蒼太くんが居るのか、
そしてあることに私は気づいた。
今日の日付……
11月○日、?
私はここにいる理由とこの可能性を否定することが出来なかった。
蒼太くんが死ぬ1週間前、
もし、これが現実ならば、
「蒼太くんを助けられる……」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。