二人の間に沈黙が、続いた。
「……」
「……」
そしてその沈黙を破るように彼が口を開いた。
「なんか、ごめんねッ」
「変なとこ見せちゃって…」
もう一度ごめんね清水さんと彼は言った。
「ッ……」
「………じゃない」
「え、…」
「変じゃないよ、全然…ッ」
分かってしまった。
彼は、彼は、
「…ありがとう」
彼はじゃあと言って足を動かした。
「ま、待って!」
「ど、どうしたの?」
「私!何でも聞くから悩んでるなら…!」
目の前にいたとても儚く微笑んだ蒼太くんだった。
彼は小さく「大丈夫だよ」と、言って消えてしまった。
「…………ッ」
「ふっうぅうぇ」
涙が溢れて止まらなかった。
悲し涙ではない。無能な私が悔しいんだ。
「ぅ、ぅ、し、死なないでぇ」
ねぇ、蒼太くん、私 あなたを救いたいよ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。