第5話

二人で
23
2020/05/23 10:15
二人の間に沈黙が、続いた。
「……」
「……」
そしてその沈黙を破るように彼が口を開いた。
「なんか、ごめんねッ」
「変なとこ見せちゃって…」
もう一度ごめんね清水さんと彼は言った。
「ッ……」
「………じゃない」
「え、…」
「変じゃないよ、全然…ッ」
分かってしまった。
彼は、彼は、
「…ありがとう」
彼はじゃあと言って足を動かした。
「ま、待って!」
「ど、どうしたの?」
「私!何でも聞くから悩んでるなら…!」
目の前にいたとても儚く微笑んだ蒼太くんだった。
彼は小さく「大丈夫だよ」と、言って消えてしまった。
「…………ッ」
「ふっうぅうぇ」
涙が溢れて止まらなかった。
悲し涙ではない。無能な私が悔しいんだ。
「ぅ、ぅ、し、死なないでぇ」
ねぇ、蒼太くん、私    あなたを救いたいよ

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