--シルクside--
帰宅後、皆と別れ、家路に着く
制服のまま布団へ横たわる
厨房から女の子が出てきた瞬間、心臓が熱くドキドキし始めた
周りがスローモーションになり、その子しか目に入らない
モトキの声でふと我に返り、大声で自分の名前を叫んだことが恥ずかしくなった
ハンバーグの味も、何の会話をしたのかも、どうやって帰ってきたのかもよく覚えてないが、あの子のことはよく覚えている
何で自分がこうなっているのかもよく分からない
考えても分からず、身支度を整え、夜のランニングへと出掛けた
外の空気は夏の割にはひんやりとし、火照った体を涼しくした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!