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第1話

01. 引越し
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2021/06/12 15:07
「はあ、疲れた。」
 
19歳の春、新学期が始まる少し前。

私は県外の大学を受験し、無事合格。マンションの一室で今日から一人暮らし。
引っ越し業者の人に荷物を運んでもらい、部屋に積み重なった段ボールを見て、ため息をつきソファに寝転がった。
 
あ、ママに無事終わったよって連絡しなきゃ


「ってあれ、スマホどこやったっけ、」

 
あれ、おかしいな、さっき荷物運んだ時まで持ってたはず…
 
立ち上がり周りを見回していると、勢いよく玄関のドアが開く。
 
「あなたー!これわすれてる!」
 
「おお、颯太が持ってたの。」
 
笑顔で「疲れたね〜。」なんて言いながら、私にスマホを渡しソフ飛び込むのは幼馴染の颯太。
幼稚園の頃から学校も放課後も習い事も全て一緒で、この春から通う大学まで同じ。
 
かといって流石に一緒には住まないけど、今日は引っ越しの手伝いに借り出した。
颯太はこのマンションの近くのアパートに暮らすらしく、母曰く両親がこのマンションを選んだ決め手はオートロック、大学との距離、そして颯太。
 

「颯太の荷物は?もうおじさんが運んでくれたんだっけ?手伝わなくていいの?」
 
「うん、たぶん!」
 
自分の荷物なのにたぶんって…。
 
 
「あー!ねね、ピザとか頼まない?」
 
 
引っ越しぽくない?なんて目をキラキラさせてる。こんな颯太が大学生になれるなんて信じられない。
 
 
「それってもしかしてー、颯太の奢り?」
 
「え!?おれそんなこと言ったぁ!?」
 
「ばか、声がでかいから!引っ越し早々クレーム来ちゃったらどーすんのよ。」
 
「あっ…、ごめん!!!」
 
「ねぇ、ごめんの声もでかいから!(笑)んーもう今日は私が奢るよ。一応お手伝いに来てもらったわけだし?」
 
「えー!ありがとーう!」
 
 
 
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「じゃあね、またくるから!こまったらいつでも呼んで!」
 
「はいはい、ありがとうね。(笑)」
 
「明日もこよーかなー。」
 
 
玄関まで颯太を見送る。
 
颯太は後ろ歩きで私に手を振りながらどんどん遠ざかっていく。
前向かないと転ぶよって言ったんだけど「俺最強だから!」って意味のわからない返事が返ってきて諦めた。
 
 
「あなたー!ドアのかぎ!ちゃんと閉めるんだよー!って、いったい、」
 
「ばか、もー、わかったよ!そっちこそ気をつけて!(笑)」
 
 
一人暮らし少し緊張してたけど、颯太があまりにも変わらなすぎて、ちょっと安心するなあ。
 

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