司のお母さんが部屋に入ってくる。
そう言って放り出していた鞄を取り,司の部屋を出る。
そう言って司の家に背を向け歩き出す。
司のお母さんは数年経ってもまだまだ現役なようで久しぶりに会っても昔のままだった。
司はー…昔やんちゃな方だったっけ。
数年経った今じゃすましちゃってさぁ…
絶対あいつ自分の魅せ方分かってるんだろうな
………
あいつが今までそう気付きながら行動してたの腹立つな…
近くにコンビニとかあんのかなぁ
そんなことを考えながら昨日引っ越してきたマンションへの道を歩く。
住んでいるマンションが見えてきたと同時にコンビニが見えてきて思い出した。
何故か大切な事を忘れていてそれを思い出した時のような謎の感動を感じる。
テレビで聞きなれた入店音をBGMに店に入った。
夕方だからだろうか。
マンションの前とはいえ意外にも人が多く酔いそうな程だった。
パンやご飯の商品棚を横目に栄養食の置いてある場所を探す。
カロリーメイトのプレーンを2箱手に取り今度は飲み物の棚へ向かう。
モンスターを3本程適当に手に取り会計へ向かった。
買い物を済ませ店を出ようとした時
名前を呼ばれたみたいだったが下手に振り返って絡まれても困る。
何故か既視感のある声…体全体でこいつを拒んでいるような寒気に襲われる。
俺の中には憎しみや嫌悪感で埋まっていた。
急に怖くなって相手を警戒させるような声を出して後ろを振り返る。
するとそこに立っていたのは
‘安藤 凜々’だった。
違う
あいつでは無い。
あいつはもう部外者だ。
違う
絶対に
そう思っても雰囲気やオーラはあいつそのもので
あいつだと思ったら平常心なんて保てなくて
震える喉を収まらせるように片言になりながら話しかける。
今話しかけるタイミングでは無いと知らせる為に。
俺の言いたいことが伝わったのか少し後ろへ引き下がった後挨拶をして帰って行った___
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
2/5 訂正
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。