もう人たくさんいるな…
人をかき分け前へと進む。
「まりなぁ!!あれ食べよ!!」
「食べる食べる!!!あっちも食べよ!!」
2人で屋台を転々としながらたくさんのものを口に運ぶ
途中で友達に会うたびに、写真を撮りながら、どんどん屋台を回る。
「あっ…」
「茜ー…あっ…」
2人で立ち止まってしまった…
突然止まった私たちに迷惑そうな顔をしながら人が通っていく。
「先輩だね…」
先に沈黙をやぶったのは、まりなだった。
「だね…」
その瞬間先輩と視線がぶつかった。
「あっ。」
先輩も私に気づき足を止めた。
「こうきー!おーい!」
「あっごめん。先いってて。あとで行く」
先輩が友達に断りを入れ、私のもとへと歩いてくる。
「茜!」
「先輩…」
「あたし先言ってるから」
まりなが私にそう告げると去っていった。
言葉を失った。だってこんなに先輩が近くにいたこともこんなに私だけを見てくれたこともなかったから。
『先輩…こんな時にずるいですよ。私が見て欲しかった時に見てくれなかったくせに…』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。