「茜…なんかその、浴衣なんだね」
「はっはい…こんな時にしか…着れないんで。」
どうしてだろう。ラインの時はあんなにスラスラと言葉が出てくるのに。
声は震えるし、戸惑っちゃうし…
「友達のとこ!行かなくていいんですか??」
とっさに出たのはその言葉…
「あっ。そうだね。じゃ…あ、俺行くね」
「はい!それじゃ!」
先輩が歩いていく。
私もまりなの所へ戻ろうとした時
「茜!浴衣!にあってるよ!」
えっ…いまなんて…
気のせいかな…先輩の頬が少し赤らんで見えたんだ
『頭が真っ白になった…普段なら当たり前に出る言葉が何ひとつ出なかった。』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。