第10話

season last
110
2018/07/25 13:49
あとすこしで花火が始まる…

先輩が言っていた公園に向かう

「先輩…」

届くはずもない声でそう呟く。

「茜!こっち!」

あー気づいてくれた
今までちゃんと話せなかったのに、今日だけでどれくらい話しただろうね…

笑顔で返して先輩のもとへ向かう

「ほんとに来たんだね」

「やでしたか?笑」

「全然!そんなことないよ!」

眩しいほどのその笑顔…暗くなってきた今でもわかる…私がずっと欲しかったその笑顔

「茜さ、友達と来てたんじゃないの?いいの?」

「大丈夫ですよーその子彼氏のとこ行ったんで笑先輩こそいいんですか?」

「なんか友達どっかいっちゃったんだよね笑笑」

「だから、ぼっちだったから茜が来てくれてほんとよかった」

「そーなんですか?それなら良かったです」

「あっ、はじまったね」

「ほんとだぁ…きれぇ…」

「だね。なんで花火ってこんな綺麗なんだろうな」

「ですね…ほんと綺麗」
先輩の横顔も同じくらいに綺麗ですよ

「茜はさ、なんで習字始めたの?」

「姉も兄もやってたんですよ。だから小さい頃から、一緒に行ってたんですよね」

「そっか…じゃあ俺と一緒だ」
またあの笑顔で微笑む

「先輩は高校になっても続けてるんですね」

「うん。まぁ大変だけど習字好きだから。」

「やっぱり。なんとなくそういう気がしました」

「そう??」

「だって先輩習字書いてる時ほんとに真剣ですもん…いつもはあんなふざけてるのに笑」

「失礼な笑てかそんなに俺のこと見てんの?笑」

「そうですよ…」
何言ってんだろう。先輩が私を驚いた顔で見ているのがわかる。でも気付かないふりをして花火を見た。

「そっか……」
やっぱり優しいですね…先輩は
聞かないでほしいことは聞かない…聞いてほしいことは聞くんだ。


そろそろ最後の一発が上がる。その前に…

「先輩っっ!!!」
その瞬間大きな花火が上がった

「なんか…言った??」

「ぇっ…?何も言ってませんよ…」


嘘ですよ。本当は言った…









先輩が好きです








そう告げました…











『あの時、1番大きな花火が上がった時、花火に照らさせた君の横顔は世界一輝いていました…』



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