sideねぎりょー。
風呂場で服を一旦脱いで、ファブリーズを掛ける。
多分これで匂いは消えるだろう…
もう一回服を着直して、部屋に戻る。
少しだけチハヤの様子を見に行こうかと思ったが、少し大きな物音と声から色々察して戻ってくるまで待つ事にした。
てか…あんなに酷いのいきなりくるか…?それだけ溜まってたのか…。意図的にやったとは思えないし…。
でも多分だけど、最近あいつ忙しそうだったし、かなり溜まってたんだろうな…。
ガチャッ
そういや今何時…もう23時…
財布から1000円札を2枚出して、もちに渡す。
フレントも財布から1000円札を取り出した。
玄関のドアが閉まる前にフレントが話しかけてくる。
フレントの方を見ると、目に涙を浮かべて俯いていた。
涙をポロポロ溢しながら、震えた声で話す。
俺はだいぶ前にフレントから聞いた事がある。
フレントはチハヤが好きなんだ。好きだけど自分はαじゃないから運命の番にはなれないだろうって。
確かに、フレントはβだし、Ωとβが番になる事なんてほぼない。
だけど俺は何もいえなかった。純愛を性別だけで割ってしまうなんて、あまりに酷いんじゃないかと。
励ます事も、慰める事もできなかった事を、今でも後悔している。
フレントは安心したのか、また泣き始めた。
今は好きに泣いていいよ。と、隣で背中を摩っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。