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第1話

始まりの朝。
180
2020/03/23 17:15
何の変わりもない、いつも通りの朝。

カーテンの隙間から差し込む朝日が、「早く起きろ」と急かすように強くなっていく。

だるい身体を起こすと、「また」あの感覚に襲われる。


カッターを取り出し、すでにたくさん傷ができている手首を さらに切りつけると、じわじわと赤い血が流れ出てくる。

それがすごく神秘的で堪らず 固唾を呑む。


血が溢れ出てくる傷口を口に近づけ、静かに味わった。
北条 りな
北条 りな
…おいしい。
狭い部屋は 小さい音でも反響するため、孤独を実感させられる。




私は小さい頃から日光に弱いため、日が出ている日中は外出することができない。

高校は 夜間の高校に通っていて、朝から夕方の6時までは 家で内職をしていた。


お金を稼がなければ、生きていけない。
とは言っても、内職で稼げるお金なんて 本当に必要最低限。

毎日の 食事すらままならず、友達どころか 好きなものもない。



私、なんで生きてるんだろう。

そう思うことは少なくない。








━━━けれど、私は「目的」を果たすまで、絶対死ねない。
















家事をして、内職をしているうちに もう学校に行く時間になってしまった。







北条 りな
北条 りな
行ってきます。お姉ちゃん。









写真の中で儚く笑う姉に、手を合わせてそう言った。

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