あなたが寝てるとき………
女子部屋(修学旅行のね)にて
さっきから中村がうるさい。
周りのみんなもいかがわしい目でこっちをみてくる。
まあ、女子部屋にいるから、仕方ないけど。
なんだっていうんだよ、うじうじして………。
そういうと、ずんずんと中村が進んでくる。
………彼女??
まったく意味がわからない。
………なにその目。
なにか文句でもあるのだろうか………
はやく入って来てほしい。
とてつもなくめんどくさい。
不満そうな顔をしながら出ていく女子たち。
ふと、眠る彼女をみる。
あなたは寝息をたてて寝ている。
かわいい。
さっき大変なことをされて、めちゃくちゃ心配なのに、そんなことを考える自分はどうかしていると思う。
でも、やっぱりかわいい………
少しだけ、あの不良どもにさわられたぶんを、上書きするだけ………
そう思って彼女の口に自分のそれを近づける。
チュッ
起きない彼女。
きれいな寝顔を横目に、
俺もひとり、眠りについた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!