甲斐田視点
今日はろふまおの収録日であった。
朝っぱらから電車にぎゅうぎゅう詰めにされて眠い中スタジオまで到着した。
本当になんでこんな朝早いのか…思ったよりも収録が早い時間で長尾とアニキにおはようとは言ったが返信は返ってこなかった。
それが一番来るまでのこころ残りだ。
まぁアニキはあとで挨拶できるけど…長尾に言えなかったぁぁぁ!クッソ
ちなみになんでこんなにも悔やんでいるのかというとまぁ僕とアニキ、長尾は3人で付き合っている。
そしてやはり、可愛い彼女からの挨拶というものは仕事のやる気も倍にしてくれるだろう。
その挨拶なしで仕事とかやってられないって!LINEをスタジオの椅子に座りながら開いたが長尾のアカウントからの通知は一通も来ていなかった。
そりゃあこの時間じゃ起きてないよな。なんて思って肩を落とす。
一度スタジオから出て廊下にある自販機で水を一本購入した。
するとよっという朝にしてはでかい声が聞こえ背中に大きな衝撃が走る
そういいながらにこっと微笑むアニキの笑顔は目を細める朝の日差しよりもまぶしかった。
そしてとてもかっこいい。
流石ホスト。流石僕らの彼氏。というところである(まぁ僕も攻めだけどね)
談笑をしながらスタジオに戻り収録の準備をだらだらと始めた。
本当はこうやって2人ならいちゃつくところではあるが流石にここはスタジオで会社の一角。
風紀は乱せない。それに加えて僕らの関係は誰一人にもいっていない。
だからあまり過度なスキンシップなどは厳禁なのである。
そこから5分くらいたったところであろうか?
社長が丁寧なあいさつをしながらスタジオへと入ってきた。
僕らも頭を下げて社長を含めてまた談笑を再開した。
中々来ない僕らの中で一番年下の先輩のことを少しからかい交じりに会話のネタにする。
だけれどあと10分ちょっとで一応撮影の始まる時刻だ。
もちさんはしっかりしてるし今頃にはいつもついているからそこそこに心配である。
だが、そんな心配も意味もなくその数秒後にスタジオのドアが思いっきり開きもちさんが肩を揺らして入ってきた。
走ってきたのだろう
案外大人っぽいもちさんにもこういう場所があるのだと思うと少し面白くなる
大慌てでもちさんが準備を始める。
面白いなぁwなんて思いながら眺めているとピコンっと通知が鳴った。
LINE?誰からだ?
LINEはまぁまた後ででいいだろう。
特にめっちゃ大事な連絡が着てるわけでもないだろうし
ぎりぎりで準備のまにあったもちさん含め僕らはいつも通りの立ち位置についた。
そしてスタッフのカウントの音を耳にしながら僕らは深く息を吸う。
社長の聞いていて心地の良い声の司会進行が番組が始まった合図である。
その言葉、一つ一つに耳を傾けながらエンターテイナーとして自分の最大限の面白さを出す。
そんなことをしていると時間は10分、30分、1時間とたちその企画の収録。
つまり一本目の収録は撮り終えた。
相変わらずうちのスタッフは人としての大事な基盤が数か所抜けているようで体を酷使させられるそんな企画だった。
まぁおもしろかったのでちゃらってことに仕方ないからしてやるけど。
そして僕ら4人は近くにある椅子に腰かけて言葉を発した
僕と社長はみんな大好き電流を流された場所を抑えながら会話を弾ませた。
やはりうちのスタッフは電流を流せばなんでもいいとでも思っているんだと思う。
そこに軽く憤りを感じながら近くにあった水を手に取り喉を潤した。
あと休憩時間は10分か…トイレにでも行っておこう。
軽く手をふりトイレに向かった。
そしてトイレに向かう途中そういえばさっき連絡来てたよな?とズボンのポケットに入れていたはずのスマホを探るがポケットにはレシート一枚しか入っていなかった。
撮影のときのために無意識に抜いていたのかもしれない。
まぁ明日までに返せばいいでしょ。
急用だったらスタッフさんから直で連絡くるだろうし
そう思いながらトイレに僕は入って行った。
スタジオに戻る廊下を歩いている途中。
迎えに来てくれたアニキが微笑みながら自動販売機に体を預けながら立っていた。
それに少しうれしく思いながら本当に休む暇も全くないなwなんて思う。
アニキの隣を歩きながら少し早足でスタジオへ戻った。
スタジオではもちさんと社長が二人で楽しそうに談笑してる。
あの二人は年が離れてるというのにも関わらず気が合うようで仲が良い
それがほほえましく笑みがこぼれる。
すると二人を見て笑っているのが気に食わなかったのか、少し嫉妬でもしてくれたのか
わからないけど不破さんは僕の脇腹をドスっとつきながら
と怒ってきた。
その様子が可愛くてはぁーいw
と気の抜けた返事を僕はよこした。
そこからは簡単で5本くらいばーっと収録をした。
そこそこに忙しかったからエゴサをする暇も、LINEを返すのも何もできなかった。
6本目の収録が終わったのは午後8時。
朝から撮っていたから疲れがどっと押し寄せた。
それなのに社長ももちさんもアニキも案外けろっとした様子だ。
なんだよあの体力お化けどもは
僕は重い腰を椅子からあげて近くにある自販機に飲み物を買いに行こうとした。
買ってあった水はもう一滴もない。
財布をリュックのなかから取り出していると
そういい二人して立ち上がる。
買ってあった水は一滴たりとも残っていない。
スタジオのドアを開け歩こうとすると
驚いたができる限り小さい声で確認をする。
スタジオの前に座り込んで爪をいじっている人の姿はやはり彼であった。
用事だろうか?いったい誰に?浮気じゃないよな?
一つ一つの音をゆっくりと吐く恋人の姿は愛おしい。
それより、あのLINEは急ぎのものであった。返せばよかった…
しょんぼりとした顔をしながら話す長尾は今にも泣きだしそうである。
そんな放っておいてしまったのか。
僕も不破さんも
アニキの甘やかすときに出る特有の甘い優しい声が響く。
いつもならうれしそうな顔をしてついていく長尾だが、今日はそうとも行かずただ床を見つめて黙るばっかり
消え入りそうな声だったが確かにはっきりとそういった。
けれどここは仮にも事務所であるわけで
甘えるというのは所謂大人の遊びというものである。
それを事務所で?流石に無理だろう
声だって響く設計だし空いてるスタジオなんてない。
人様の前で行為をするなんてもってのほかだし、ここは長尾をうまく説得するしかなさそうだけど…
さて、どうしようか
アニキが言うスタジオの準備室というのは今僕らが使っていたスタジオと薄い壁一枚で仕切られてると言ってもいいのかというような部屋だ。
撮影用にマットやタオルもおいてあるから一応吸音材としても使えるしまぁ事後の処理にも使えるだろうけどそれがあったとて中にいる二人やスタッフさんには気づかれるだろう。
それに機材だって…
スタッフさんも入ってくるかもしれない。
流石にリスキーすぎる。
これにはきっと長尾も止めるだろう。
どう考えたって自分たちのペースでもできないし焦るし
僕が驚きのあまり二人に聞き返すとまるで僕がおかしいような視線を向けられる。
そんな視線にいたたまれなくなり僕は視線を床へと落とした。
自販機の機械音が鮮明に響く
そんな空気に慣れていないため僕は仕方なく半ばやけくそで了承をしてしまった。
僕らの入る扉の隣の扉を指さして歩いていく。
飲み物を買いに行くと言って出て行ったというのに時間かかってしまってもいいのだろうか。
まぁきっと待ってずに帰るだろうしそこまで二人とも不思議には思わないだろう。
あの二人だし!と信じざる負えなかった
ガチャっと開いたドアからは薄い壁で仕切られている隣の部屋の声が聞こえて来た。
もちさんの笑い声、社長の喋り声詳しくは聞こえなかったけどこっちの声だってそこそこに聞こえるだろう。
…まぁこの二人に多分何言っても聞かないか。
僕も覚悟を決めて準備室に入り鍵をしっかりと閉めた。誰も入ってこれないように。
薄暗い準備室は正直行為をするのにもってこいだとも思ってしまう。
それこそ今長尾を押し倒して深いキスをしてる様子がしっくりとあてはまってしまうほどに。
クチュクチュクチュ
キスですら甘くとろけたような目をしている
そんな長尾にここでヤることに抵抗を覚えていた僕もそんな抵抗感はいつしかどこかへ放っていた。
少し楽しそうな挑戦的な甘い目で僕を見つめてそんなことを言う。
その問いの答えなんて僕には決まっているのだ。
長尾はされるがままに僕らに服を脱がされた
頬を優しい桜色に染めたからだと顔に僕らはまたもや唇を落とした。
解かしてぐちゃぐちゃになった長尾に問いかけるともうとっくに頭は働いていないのか頭を達に動かして小さく声を出した。
パンパンパンパンパンパン
ビュルルルルビュルルルル
そういいながらアニキは大きくつく。
僕もアニキのそれと擦れてもう一度イキそうになる
長尾は大きく腰を大きく動かした。
するとがしゃん!という大きな音がなり近くの機材が倒れて来たのだと分かった。
今まで聞こえてこなかった社長ともちさんの声も鮮明に聞こえてきて「スタッフさん大丈夫ですかね?w」、「そういえば不破君たち遅いですね」なんて話しているのがわかった。
僕らの中にも少しの沈黙があったがそれすらかき消すように僕とアニキは腰を振った。
社長たちのことなんて忘れるように深く早く。
案外こういう場所でするのも悪くないのかもしれないと僕は思ってしまった
誤字脱字、いみわからないとこあったらすいません。
また、遅くなって申し訳ないです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。