うぅ〜。めっちゃモヤモヤするぅ〜!
会場外のベンチで1人、寂しく座っている。
シルクは何を言おうとしたのかな…。
きっと、大したことじゃないでしょ。
んまぁ、もう終わったし、帰るかな?
手探りで背負ってきたリュックの側面にぶら下がってるはずのカードケースを探す。
Suica…。Suica…。_????!
Suicaがない!?
握手する前もちゃんと、カードケースに入れてあったはずなのに。
カードケースごとない…
どうしよう。
お金も最低限しか持ってきてないから。
帰れないよ…
独り身だから、送迎出来る人もいないし…。
会場の前で、泣き崩れそうになったその時_
“トントン”
っと肩を叩かれた。
振り向くとそこには_シルク!?
ニカっと眩しい笑顔を見せるシルク。
“キュン”
っと胸が高鳴る。
シルクが私の顔を覗き込む。
するとシルクがパッと私の手をとった。
そう言って、シルクは走り出した。
シルクに握られた手を離そうとするけど、シルクの握力に負けて離せない。
もうどうなっちゃうの〜!?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!